Navigating Change | インターブランドジャパン

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C Space
Laurent Manes-Murphy, Head of Growth, EMEA,
Zoë Bishop, Account Director,
Jason Martin, Associate Director

これからのビジネス成長において大切なことは、Covid-19の影響が2020年の収益にどれ程影響するのかではなく、このパンデミックが終わった後、消費者があなたのブランドとどの様に付き合っているのかであり、そしてその関係を構築し続けるために、あなたが今まさに何を行っているかであると考えます。

この状況においては、顧客インサイトは急速に変化しています。企業のインサイトディレクターは、日々その変化を迅速に、そして正確に捉えることへのプレッシャーに悩んでいますが、これまでの調査手法だけでは、顧客の考え、行動の背後にあるコンテクストを理解することや、先入観に惑わされない状態で、真の顧客インサイトを導き出すことは難しいのではないでしょうか?

そして、多くのクライアントは、現在の状況下では適切でないNPS調査やブランド定点調査など従来の(そして高価な)調査実施を中断しています。そして新たな試みとして、オンラインコミュニティの活用を始めています。断続的に行われる従来の調査とは異なり、一定の時間をかけてコミュニティメンバーと信頼関係を構築し、継続的につながることで、彼らの本音を聞き出すことができる良いツールであると捉えている様です。

では、クライアントは顧客から何を聞き、学び、そして活動に活かしているのでしょうか?

  • 現状理解:今、顧客が置かれている現状がその業界やブランドにどのように影響しているかについて情報を得て、企業が迅速に必要な対応を行える様にしています。
  • 将来予測:この先、パンデミックが収束した時におこるビジネス上のリスク回避または、積極的な投資を行うために、人々の今の行動にはどの様な意味があるのか?そして収束した時に彼らが何を止め、何を継続していくのかを理解する取り組みを始めています。

 

現状理解

COVID-19によってどの様な影響が出るのかについては、非常に複雑で予想しづらく、また状況は、急速に変化します。そのためその変化に対応できるのは、顧客とつながることで信頼関係を構築している企業ではないでしょうか。そして以下に挙げる様な効果があるため、顧客とつながり、時に共創を行うことが出来るオンラインコミュニティ利用企業の増加は、当然のことだと言えるでしょう。

顧客との絆の強化:オンラインコミュニティを通して、顧客が(孤立している場合でも)他のメンバーと繋がることのできるプライベートな場所を提供することで、この前例のない状況の中、顧客が何を感じ、実行し、そして必要としているのかを直接聞くことができる機会を得ることができます。そして顧客と強い絆をつくり、関係性を維持することも可能となります。

異なる社会、文化の迅速な理解:オンラインコミュニティは、COVID-19による旅行の禁止や移動制限、場合によっては隔離された状況においても関係なく必要な情報を入手することができる最も確実な手段です。コミュニティメンバーから、そのブランドが存在している社会環境、地域特性、市場におけるポジションなどについて、そのニュアンスを含め詳細かつ迅速に把握できるように、各地域のコミュニティメンバーにベストなコミュニケーションを行なっています。

ニューノーマルで生き抜くためのブランドの再定義:今回の様な危機的な状況下においては、企業は顧客とのは関係性を再構築する機会となりますが、そのブランドに顧客が時代に即した臨機応変な対応を求めているのか、または信憑性が求められているかなどを見きわめる上で、顧客から最も支持を得て、価値があり、自分とつながっているブランドであると見なされる方法を理解することは重要であり、これからの真の変革へにつながると考えられます。

 

将来予測

今回のCOVID-19のような危機は、消費者の行動を完全に変えてしまう可能性があります。例えば、2002年から2003年に中国で発生したSARSは、インターネットとオンラインショッピングの利用が急増し、Alibabaのビジネスを大成功へ導きました。同様に、Covid-19危機は中国でシニア層のITリテラシー向上に伴うシルバーテクノロジー革命を引き起こし、彼らが積極的にアプリを使用して生活のニーズを満たす変化が起こりました。

今後のCOVID-19収束後の復活の鍵となるのは、1〜2か月の間にグローバルで何が起こり、そして人々の意識、生活様式などが、どのように変化するかを常に先取りし、その準備を行うことが重要となるはずです。

先見性の創出:定点的なある地点においての観察では、例えば、「人々はパブに行くのを止めました」というような、ありのままを状態の確認で終わってしまう傾向が見受けられます。大切なことは、その行動の変化とインサイトを注意深く考察し、一時的なものなのか、または新たな習慣として定着する可能性があるものなのかを区別する必要があります。この危機が長く続けば続くほど、新たな習慣が根付く可能性は高くなります。そして顧客の趣向の変化が、以前と同じものに戻る可能性は低くなります。これから生き残るためには、新たな顧客の趣向が何であるか、そしてその裏にあるインサイトを早く知り、そして競合企業よりも迅速に対応することが必要です。例えば、フランスでは現金の使用はほとんどの店で禁止されています。これにより、完全な支払いのデジタル化が加速したでしょうか?非接触型決済は、シルバー世代の新たな規範になっているでしょうか?そして、この新しいコンテクストにおいて決済ビジネスはどのような役割を果たすべきでしょうか?今顕在化している変化だけではなく、インサイトを知ることで、この先何が起こりうるのかを予測しながら動くために、顧客とつながることが出来るオンラインコミュニティは、より必要とされてるのではないでしょうか。

顧客との共創:変化を生み出さないインサイトに価値はない

まず大切なことは、人々の新しい習慣を理解することです。そして、その理解を活かしたイノベーション開発を迅速に行い新しい製品、サービス、コンテンツ開発などに結びつけることでビジネスの持続的な成長に寄与することが可能となります。また、失敗を避けるために、COVID-19収束後の新しい開発においては、顧客と協力して一緒につくりあげることが極めて重要になります。おそらく自宅のオフィス化は確実に進行し、毎日会社に行く必要がない、各自に適した自由な勤務方法が新しいモデルになるでしょう。Made.comとIKEAが機能的なオフィス家具を家庭で使用できるよう、デジタルチャンネルのタッチポイントに多額の投資を行ったのは、変化を先取りした適切な対応の良い例だと言えるでしょう。

では、Covid-19危機の中、どのように実際にどの様に実行していくでしょうか?以下はオンラインコミュニティを成功へと導く重要なステップです。

トーン/メッセージ:現在の状況下で、顧客にオンラインコミュニティに参加して貰うためには、より細やかな気遣いに満ちた適切なアプローチが必要になります。このような困難な時期に、企業として何故顧客とのつながりを強化していく必要があると考えているのか、何を成し遂げたいのかを伝え、その意図を明らかにすることは、顧客を気遣い、顧客の声に耳を傾けていることを示す絶好の機会でもあります。顧客が長い間家にいる可能性があることを考慮すると、コミュニティでのつながりは、他の人々とのコミュニケーションの場として、気晴らしになるかもしれません。

関係性の構築:コミュニティのメンバーとのつながりを深めていくことを急ぎすぎないことが必要です。一定の時間をかけてメンバーを知り、そしてモデレーターとの絆を築くことで、より本音で語り始め、自分ごととして考え、発言して貰うことが可能となります。そうすることで、コミュニティは真のつながりと会話の場になります。

適切な方法論:必要なインサイトを導き出すには、どの様なコミュニティメンバーへのアプローチや、質問方法などが有効であり、その実施おいて、以下の様な方法で、余計なバイアスを排除していくことが重要といえるでしょう。

  • 円滑に思考できる環境づくり:参加メンバーに今の状況を認識し、理解して貰った上でCovid-19について話し合う機会を与えます。 “Clear the past”や“Tantrum”などのエクササイズを使用することで、より今の状況を認識し、自分の思いついたことをすべて引き出すことが出来、後で立ち戻って、より詳細な会話を行える環境づくりを可能とします。
  • 設問における工夫:直感的に応えることが出来る種類の設問と一定の時間をかけて考える必要がある設問を意図的に組み合わせ、答えて貰うことで、よりインサイトに近づくことを可能とする。
  • 感情と情緒を利用し聞き出す技術:インサイトを聞き出すためには、顧客が彼らの感情について本当に話したいことが語れるファシリテーションが必要となります。例えば、答えを誘導する様な質問はせずに彼らがなぜそのように感じるのか、より詳しく説明できるように追加の質問を被せながら行うことや、また特に1対1の場合は、顧客に圧倒されないようにバランスをとりながら会話を誘導していきます。
  • 定性および定量的なアプローチツール:メンバーの言動の背後にある考えや、その発言を行った理由を明らかにすることで、インサイトを知ることは、今は非常に重要です。これは、クローズドエンド型のデータの説明やビデオなど様々なアプローチツールを用いることで、隠れている真実を表面化させることを可能としました。
  • The Bench: この手法は特徴的な10〜25世帯を特定(ボランティアでの参加を募ることもあります)し、チームを形成します。その世帯において選んだ個人を深く理解し、そして世帯全体との関係を構築していきます。コミュニティの運営は、通常の活動に加えて、生活内容が分かるビデオストーリーを作成し、クライアントのビジネスにおいて市場で起きている問題や課題の理解の迅速な理解につながる情報を定期的に、リーダー層にメッセージとして届けます。定量的なデータによる情報ではない、生活者一人一人の、人間の物語です。これは、今回の緊急事態宣言の様な完全な封鎖状態の中でも、ビジネスにおいて主要な意思決定者がサービスを提供する人々の現実を知る最も重要な手段になります。

 

これらのステップはどのように機能するでしょうか?以下は最新の2つの例です

大手スーパーマーケットチェーン
チャレンジ:大手スーパーマーケットチェーンはCOVID-19に対する現在の顧客の認識を理解し、将来の消費者の行動をより正確に予測することで、例えば、まとめ買いなどの混乱した顧客の行動と備蓄を管理していくなどの安定した緊急時対応計画を作成する必要がありました。

アプローチ:顧客の感情、病気に対する不安・懸念、店舗への信頼度などをマッピングし、その変化をトラッキングするための取り組みを開始し、ブランドとのつながりをモニタリングし、顧客と従業員が求める優先順位の高いサービスから実行するために、毎日のCOVID日記を情報として発信しました。

結果:コミュニティメンバーからの意見を参考にした特定の商品に対する販売個数の制限、高齢者のための買い物時間の設定、従業員自身の裁量で就業するかを決定できる新しいビジネスルールの制定などの緊急対応は、継続的な対応の一環として展開されました。

グローバルな航空会社ブランド
チャレンジ:この様な状況下だからこそ、顧客との絆の構築とブランドの信頼性を維持するために、利用者と頻繁にコミュニケーションを行い、変わりゆく顧客のインサイトを「正確に理解する」必要がありました。

アプローチ:当初は、私たちC Spaceが自発的にオンラインコミュニティで語られる、旅行がキャンセルになるなどの不都合に対しての顧客から航空会社に対しての期待などの情報提供を行いました。そして航空会社からの情報提供としては、CEOからの手紙と感染を最小限に抑えるために講じられた措置をまとめたビデオを共有しました。彼らの迅速な対応、明確なメッセージ、そしてコミュニケーションのサポートを行いました。

結果:顧客のキャンセル希望に対して無料の手続きと再予約のポリシーを48時間以内に定め、影響を受けている旅行者数を毎日更新することや、他の航空会社の対応についても情報提供を行ないました。

 

Translated and edited from “Navigating Change” in C Space, Authored by Laurent Manes-Murphy, Zoë Bishop and Jason Martin

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