食べ物と同じくらい重要なコミュニティ | インターブランドジャパン

食べ物と同じくらい重要なコミュニティ

 

地域社会と連携するために、共同体になる必要性がでてきています。

消費者は、自分たちの食生活を維持することに貢献している人々を賞賛し始めています。これまで当たり前とされてきた食料品店が消費者の命綱となり、その従業員が、緊急時に1番に駆けつける救急隊と同じようなヒーローとして扱われると、誰が知りえたでしょうか。

この危機に直面した時に、自分のことだけでなく、他人のことを考えることはとても努力が求められます。これまで、確かに生き残ろうとした結果、幾つかの利己的な行動が見受けられましたが、しかし一方で、人々が協力し立ち向かう中で共同体として活動する動きが顕著になっています。Twitterでは#Inittogetherがトレンド入りし、イタリア人が近隣の人々とベランダ越しに一緒に音楽を奏でたり、孤立している人たちを助けるために、地域社会のボランティアネットワークが、数万人もの人を募集するなどの動きが出てきています。

私たちは、この危機の中でより精神的な安定を求めています。その結果として買い溜め行為を軽蔑し、非難する多くの声があがっています。安全に集団で生き残ろうと支え合うことを拒否する人たち、そのような彼らの存在や行動に対する恐れが原動力となり、大勢の中の一部の行動すら見過ごそうとしません。

“買い溜めする人々は他人のことを考えていません。 いつか彼らも同じ思いをするでしょう。”
Sarah M

買い溜めに対する否定的な態度とは対照的に、自分のリスクがあるにも関わらず、確実に生活に必要なライフラインを供給し、私たちが必需品を購入できるよう努め、最前線で働く人々とその組織に対しては、あらためて賞賛が送られています。

我々が話を聞いた消費者は、食料品店の店員を“私たちの命を救う”医師や看護師と同じように、 “最前線にいる人々”であると語ります。私たちと家族のために食糧を供給し続け、自分の健康を危険にさらしながら仕事に立ち向かう、人々はまさに“ヒーロー”です。

今回のパンデミックによって欲求のヒエラルキーは根本から変わりました。

私たちは、今、消費者の考える欲求のヒエラルキーが完全に変化している状況を目撃しています。マズローの自己実現理論で用いられる五段階欲求を表したピラミッドに例えると、コミュニティが“安全の欲求”のレベルから食べ物などへの欲求と同等の“生理的欲求”のレベルへと下がっています。これは本当に大きな変化です。恐怖と不安が渦巻く中、ビジネスでは、より人間としての本質的な考え方や行動に対する答えの問いが求められます。どのように自分以外の人々に対して適切に接していけばいいのでしょうか。消費者にとって唯一確実であることは、不確実性です。つまりあなたが、消費者が必要と考える安心、安全、そしてきっと明るい明日を迎えられるという期待に応えるための提案が必要になってきていると言えるのではないでしょうか。

ほんの数週間前までは、消費者は食料品店に対してせいぜい、ちょっとした何かを購入する場所という程度にしか見ていませんでした。常に食料品を手に入れられるということは、社会にとって欠かせないサービスの上に成り立っている事実を、その利便性により見失っていました。しかし、今回の危機で、人々はそのサービスを以前よりもずっと高く評価するようになりました。消費者の価値観は、今までとは大きく異なっていると思います。

“【私が通う食料品店】では高齢者が早くから入店して商品を買えるようになりました。お金のことだけを考えずに、高齢者のことを第一に考えてくれる彼らに拍手を送りたいし、今後も応援したいです。私は彼らに拍手を送り、これからも応援します。地域のことを考えてくれ、私たちが生きられているのは彼らのおかげです。”
Shanna

店舗の経営者が考慮すべきポイントとして、食料品店の従業員が“最前線にいる”ことだけでなく、従業員を対象としているオンラインコミュニティでは、彼らは病気に罹ることを、これまで以上に心配しているという声が聞こえてきています。今彼らのおかげで存続しているサプライチェーンは実は、とても脆いものです。食料品のブランド各社は、従業員を大切にしているかどうかを今一度確認する必要があります。

今回の危機により、消費者とその近隣の食料品店との間にうまれた、この新たな絆は、購買行動が通常に戻ったとしても、その絆は継続的な成功を収める上で、必要不可欠なことであると考えます。例え今後人々が、普通に店舗に行くことができるようになったとしても、ビジネスをeコマース軸に展開することは非常に重要であり、これからは人々はよりオンラインで注文する方を好むことになるでしょう。

この危機の間、日常生活を支えてくれるブランドに対して、ロイヤルティが高まっているでしょうし、私たちがこの危機を乗り切った後も、私たちやその家族を守ってくれた事実から、そのロイヤルティは続いていくはずです。一方で、食料品店は今まで自分たちのビジネスは、社会的に必要不可欠なサービスであり、消費者に常に求められることから、他社との事業競争を優先し、顧客第一主義の必要性を感じていなかったかもしれません。その様な食料品店は、この危機を乗り越えたとき、消費者と前向きで新たな関係をどのよう維持していけばいいのでしょうか。

この環境下において、必要不可欠なサービスを提供する企業が、消費者の生活に対して、過大なほど重要な役割を担っています。そして、食料品店が繁盛しているこの間、多くの消費者の関心は、他の事に対して優先順位が低くなっているといえるでしょう。

もう一つの大きな論点は、“消費者と新たな関係を築くために、他のブランドができることは何か”ということです。世界的に有名な2つのブランドのCoca ColaとHershey は、第二次世界大戦中、米軍に対して積極的にサポートし協力を行なったことで記憶に刻まれ、今日でも消費者との絆が続いています。そして、私たちは今、ある意味再び戦争に巻き込まれてしまったと言えるのではないでしょうか。

 

Translated and edited from “Episode 1: Community as important as food” in C space.com

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