
コロナ禍におけるヘルスケアとは
C Space Health
Managing Director
Corey Schwartz
危機への対応について私たちが発見したこと
危機的状況下にある医療は、今まさに混乱状態に陥っています。このような急激な変化の中で、助けとなる重要な武器がひとつあります。それは情報です。
C Spaceは、患者、介護者、医師を含む数十万人の人々と毎日携わっています。彼らは、私たちのクライアントに、現在の状況が生活にどのように影響を及ぼしているかを理解するためのインサイトを提供し、彼らの本質的なニーズにどう対処すれば良いかを知ることで、意思決定におけるリスクに軽減につながっています。この様な状況において、どうすれば競合より必要な存在として顧客に寄り添うことができるかを理解することはきわめて重要で、将来の持続的な成長に不可欠であると考えています。
私たちが知っているヘルスケア業界はこれまで以上に、速いスピードで変わり続けるでしょう。私たちC Spaceが、クライアントが将来のビジネス機会を予測し、その対応策を提供することで、リスクを軽減すること機会を創出することは、これまでになく迅速なアクションが求められています。
ヘルスケ業界に今何が起こっているのか
医師たちは、これまでの日常における当たり前の現実があっという間に崩壊していく状態を何度も経験しています。最前線に立つ人々は、長時間労働を余儀なくされ、コロナウイルスは彼らの精神面、体力面の両方に大きな打撃を与えています。コロナウィルス感染者の治療に携わっているかどうかに関わらず、コロナウイルス以外の治療にも大きな影響を与えるため、医師の仕事は、まさに劇的な変化を遂げていると言えます。
緊急を要しない手術や予約は優先順位を下げられ、キャンセルされ、遠隔診療に回されたりしています。自分たちの診療に及ぼす経済的な影響を鑑みつつ、患者の電話への応答、質問への対応、ソーシャルディスタンスが求められる社会で、いかに患者のパニックを緩和するかに注力することで、今や医師たちは消耗しきっていると言えるでしょう。
ヘルスケア業界の消費者、つまり患者は、この状況にこれまでにない恐怖心を抱き、不安に苛まされています。そして、彼らの現実に即した課題解決に必要な信頼出来る最新の情報を求めています。持病を持っている人たちは、常備薬不足を心配し、今後の治療の受け方と対処方法について、医師からのアドバイスを不安な気持ちで待っています。
“私は遠隔診療の経験がないので、今もクリニックを開けています。私は熱と咳が出ている患者を診るだけでなく、残りの患者のためにそこにいなくてはならないのです。インターネットでは患者を丁寧に診察することはできないと思います。きっと私はビジネス感覚が欠如しているので、この先経営に行き詰まるかもしれませんが、クリニックでの診察、臨床検査を行えない状態は、私にとっては想像出来ません。”
一般開業医 米国
“仕事や保険を失った患者には、私たちにそのことを早く知らせるようにと伝えています。そうすれば、ただ単に今の投薬治療をやめてしまうのではなく、可能な他の投薬治療の選択肢を見つける手助けができるからです。”
内分泌学者 米国
“私の妻は昨日重要な注射を打つ必要があったのですが、この状況を鑑みて、かかりつけ医にキャンセルの電話を入れました。そうしたら、彼は、「とんでもない!私たちはあなたの車まで行ってあなたの治療をします」と言ってくれました。約束した時間に本当に彼らは来てくれました。”
2型糖尿病 患者
“私はもうコロナの情報を聞きたくありません。テレビをつけると嫌でも目にしてしまいます。最近はコマーシャルでさえ、それについての何らかの情報を含んでいるのですから。”
自己免疫疾患 患者
“私の仕事は一時帰休となり、給料は30%も減額され、不安が増大しています。家にはまだ小さい子どもが家にいるので、しばらくこのことで頭を悩ますことになりそうです。こうした心配ごとはいつも私の血糖値を上げてしまいます。”
2型糖尿病 患者
“私の暮らす市では今のところ、2人の感染者が確認されていますが、あまり心配しすぎないように気をつけています。ただ、私の持病による免疫システムの低下と50代という年齢を考えると、もっと心配し予防を意識しないといけないのではないかと気になっています。”
自己免疫疾患 患者
“緊急性に乏しいと考えられる診察が後回しになるか、時には中断されてしまうことで、定期的に診断を仰ぐことが困難となっています。かかりつけ医にそれが自分に今後どんな影響があるかと尋ねたら、自分には判断がつかないので、ただ三密を避けた方が良いという返事でした。彼は現在、診療室へ出勤していないので、私は、仕方なく必要に応じて薬局に電話をかけるか、遠隔診療を受診しています。”
自己免疫疾患 患者
次に何が来るのか
必要に駆られての対応も多分に影響していますが、製薬会社は、医師にどの様な情報を提供すべきか、何が正しい提供チャネルなのか、医師が求めている情報を理解しやすい方法で伝えるにはどうすれば良いかを改めて考える機会を得たことになります。彼らは、患者の立場を改めて考え直し、患者のサポートプログラムを見直し、金銭的支援プログラムも並行して検討し、そして薬品の調達に遅れが出ない体制を整える必要が有ります。
病院は、最前線にいるスタッフのために何をしているのか、患者のニーズにどう対応しているのか、そして、必要なスタッフの保護服を手に入れるため、ヘルスケア業界以外の企業も含めた他社とどのように協業していくかの情報を入手し、共有するために異業種とのネットワークの構築を始めています。患者に対しては、予約を延期する場合には、きちんと次のステップを、明瞭に伝えることが必要になります。緊急性のない予約がキャンセルされたり、変更されたりすると、患者は、健康状態を示す重要な症状を含め、彼らの疾患や不調の情報入手が遅れてしまう可能性があります。患者に必要な情報を必要なタイミングで提供することで、今後の対応をきちんと理解してもらうことで、効果的な治療につながると考えます。
保険会社にとっても、今までのサービスを見直す大きな変化を迎えています。これからは顧客に寄り添うことを第一に考え、より多くの顧客向けにパーソナライズ化されたプランを、タイムリーに提供することが求められており、特にヘルスケアに関与関心が高い利用者はかつてないほどに、保険会社が開発する新しいサービスを期待しています。
危機チェックリスト
この危機において、すべての企業にとって欠かすことのできないチェックリストがあリます。これはヘルスケア業界であっても同じことが言えます。
1.顧客(患者、医師、看護師、介護者)のニーズを理解する様に努めます。
2.話しかけるトーンやメッセージの内容、そして自らの行動が患者や医師のニーズにあっているかを常に確かめ、意識するために、適切なコミュニケーションを行います。
3.競合企業が何を考え、実践しているかを観察し、分析します。
4.医師と患者がお互いを意識し、時には協創を目指すことで、今までにない新たな治療方法を考え検証することで、これからの時代に必要な新しいヘルスケアの実践を目指します。
Translated and edited from “Healthcare, Now” in C Space, Authored by Corey Schwartz