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Iconic Move™️:挑戦がもたらす飛躍的な成長。その実現に向けて



インターブランドジャパン
代表取締役社長兼CEO 並木 将仁

Iconic Move™️。それは、ブランドが示す非連続な成長への道筋。ブランドの打ち手その物が象徴的であり、非連続的な変化をもたらす挑戦。それこそが、いまブランドに期待されている大きな役割の一つではないだろうか。

しかし一足飛びにIconic Move™️は実現できない。Iconic Move™️を為すためには、ブランドが挑戦する姿勢を貫かなければならない。しかし、挑戦することは難しい。だからこそ今回は、① 挑戦するブランドが成功している要因、② 企業がブランドに挑戦するパターン、③ 挑戦の先にあるIconic Move™️の特徴、の3つのポイントを鳥瞰的に捉えることで、Iconic Move™️への道筋、すなわちブランドをもって成長を実現する道筋に光を当ててみたい。

 

① 挑戦するブランドに見られる成功の要因

2018年のBest Global Brands(BGB)においてブランド価値を伸ばしたブランドに見られる傾向として、「顧客が真に求めるサービスを生み出す」「顧客を中心に据える」「ブランドの役割を高める」「顧客と継続的につながる」「異なる価値観を取り込む」の「5つの方向性」が浮かび上がって来ている(図1参照)。一言で総括すると、「顧客のニーズ/ウォンツがパラダイムシフトとも言える変化を遂げる中、ブランドがそのパーセプションだけでなく、事業活動の実態としても価値を訴求できるか否かが、ブランド価値の成長を左右する。すなわち、顧客が真に求めるものが変化する中、コミュニケーションだけでなく事業活動そのものを大胆に変革しながら顧客と一緒に作りあげていくという新たな顧客との絆の構築が求められている」と言えるだろう。

 

<図1: 挑戦するブランドが成功している5つの方向性>

図1: 挑戦するブランドが成功している5つの方向性

Best Japan Brands 2019の結果を基に、日本の状況をBGBの「5つの方向性」の視点から分析すると、3つの重要な傾向が見える

  • 1. 日本においてもROBの高いブランドは価値の上昇率が高い傾向にある。つまり日本でもブランドを競争力の源泉として活用する会社が増えている
  • 2. グローバルでの展開が進んでいるブランドでは、「顧客が真に求めるサービスを生み出す」「顧客を中心に据える」を実現し、変化対応度と要求充足度を高めるブランドが特に躍進しており、グローバルブランドの動きに沿っている
  • 3. ドメスティックブランドは、概念明瞭度と差別特有度を強化し、ブランドの価値を高めてきているが、取り組みとしてはグローバルの潮流には乗り切れていない

つまりグローバルの傾向を捉えているブランドはあるが、事業実態を包含するブランド構築は緒に就いたばかり、と言えるのではないか。ここから、日本企業がブランド価値を伸ばすためには、ブランドの世界観や差別性を伝えていくのは当然の取り組みとして、より顧客体験を軸としたブランドのあり方を模索する必要があると言える。「5つの方向性」は最終的には顧客体験を通じた顧客との絆づくりに結びつく。これをストーリーテリングでのコミュニケーションから、事業実態でのブランド構築(=ストーリーメイキング)へのシフトと読み解くこともできる。無論、これは評判作りとしてのブランディングの必要性を劣後させるものでは無いが、より事業実態におけるブランド構築が重要となっているトレンドはしっかりと認識するべきであろう。

 

② 企業がブランドに挑戦するために必要な整理

どのような取り組みを行うことでブランド価値を高められるのかは、上記を読み解ければわかるだろう。同時に、これらの要素は施策である。ここで問題となるのは、往々にして日本企業には、その前提となるブランド戦略が不明確であることが挙げられる。2017年にインターブランドジャパンとして「ブランド戦略5つの類型」を提示した(図2参照)。しかし戦略に踏み込む前に、その更なる前提としての「ブランディグ目的の4パターン」(図3参照)が日本企業にとっては重要だと気がついた。

 

<図2: ブランド戦略5つの類型>

図2: ブランド戦略5つの類型

なぜならば、「なんの為に、そしてどういう状況で」ブランドに取り組むかが明確でないと、戦略に踏み込む前に右往左往してしまう実情がある。それは関係者が抱くブランディングへの期待に齟齬がある為であり、その結果は中途半端な取り組みと、ブランドへの失望感になってしまう。
どのようにブランドに取り組むかにおいては、2つ重要な視点がある。1点目は「ブランドと事業戦略の関係性」であり、2点目は「ブランディングの役割」である。いまのポジションを強化するのか、それともポジションを変えるのかで、取り組みの比重が大きく変わってくる。また事業戦略とブランド戦略の関係性によって、つまり事業戦略ありきのブランド戦略なのか、ブランドが事業戦略を左右し得るのか、で踏み込む深さが変わってくる。
繰り返しになるが、「なんの為に、そしてどういう状況で」ブランドに取り組むかを関係者が明確に認識することは、その後の戦略策定や戦略具現化において、非常に重要になってくる。特にシステマチックなブランドへの取り組みが緒に就いたばかりの日本企業では、出発点を再確認することをオススメしたい。

 

<図3: ブランディング目的の4パターン>

図3: ブランディング目的の4パターン

 

③ 挑戦の先にあるIconic Move™️とは

しっかりと目的を見据え、戦略を持ち、そして適切な挑戦の先には何が実現できるのだろうか。それを我々はIconic Move™️と呼んでいる。Iconic Move™️は、「ブランドが、その在り方を非連続的に変化させることで、事業や企業での象徴的な変化を実現できる取り組み」と定義できる。
ここで重要なのは、なぜIconic Move™️が必要になるか、という論点だろう。これは、端的に言えば「顧客の期待の変化スピードが、企業が提供できるブランド体験の漸進的改善スピードを大きく上回っている」ことに起因する(図4参照)。だからこそ、顧客の期待を上回るポジションを取れるだけの大きな動きが必要となる。

 

<図4: 顧客体験を飛躍的に高めることで止まることない顧客の期待を超える_Iconic Move™>

図4: 190214_4_顧客体験を飛躍的に高めることで止まることない顧客の期待を超える_Iconic Move™

そしてIconic Move™️の最大の貢献は、大きな変化を「顧客」「組織」「競合」「業績」の4領域(*1)に残していく(図5参照)。

より戦略的に、より大胆に。いま日本企業に求められているブランドへの取り組みの力点は、この2点が重要なのでは無いだろうか。その先には、Iconic Move™️が実現している明るい未来が待っている。

 

今後は3回のシリーズとして、この3つのポイントを詳細に説明して行きたい。

*1., 顧客に関してはShift customer expectation、組織に関してはForce internal commitment to change、競合に対してはCreate a monopoly window、業績に対してはGenerate significant results、と定義している