人々の好奇心をかきたて続ける National Geographic:EVPのEmanuele Madeddu氏に5つの質問 | インターブランドジャパン

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人々の好奇心をかきたて続ける National Geographic:EVPのEmanuele Madeddu氏に5つの質問

Instagramで最も影響力のあるユーザーランキングの上位に名を連ねるのは、ご想像の通り、クリスティアーノ・ロナウド、ビヨンセ、ジャスティン・ビーバー、リオネル・メッシなど、世界で最も才能あふれるユニコーンたちだ。しかしニッキー・ミナージュとクロエ・カーダシアンの間にあるユーザーネームは、これらのセレブたちと趣を異にする。2019年1月で創刊131年を迎えるNational Geographicは、実に9,800万人ものフォロワー数でランキング上位に食い込んでおり、「いわゆるブランド」としては、Nike(フォロワー数 8,400万人)とReal Madrid(同 6,800万人)がこれに続いている。以下、同誌 Executive Vice President のEmanuele Madeddu氏へ、brandchannelが5 Questionsを行なった。

Brandchannel:(以下bc:) 創刊から131年が経つ中で、これほど多くの人を惹きつけ続けているのは驚きです。秘訣は何でしょうか?

「それをお話しするには、私たちの原点に遡る必要があります。創刊初期のNational Geographic誌は探検家の旅の記録、つまり彼らが冒険の中で観察したり発見したりしたことを記録したものに過ぎませんでした。当時はまだ写真がなく、Google Mapsも存在せず、世界の一部地域は地図にさえ載っていなかった時代です。そこで私たちが提供したのは、世界を探検する方法でした。今では地球上の物理的地形は地図化されていますが、世界は変わり続けており、人々は探検する方法を求め続けています」

「当然のことながら文化も変わりました。National Geographic創刊当時、”geography”の定義は文字通りで、雑誌を通じてしか見ることのできない場所を読者に紹介するといった意味で誌名が付けられました。しかし時を経てgeographyの定義は広がりを見せ、今では”geography of gender”(ジェンダー地理学)、”social geography” (社会地理学)、”human geography”(人文地理学)などのように使われています。National Geographicブランドはこの新たな解釈にヒントを得て、20年前には私たちが語らなかったようなストーリーを伝えています。2017年にはトランスジェンダーの少女を表紙にしましたが、それは彼女の世界を探検するのにふさわしいタイミングでした」

bc: 正統さを保ちつつ、顧客の個人的な信条や大事なことを映し出しているのですね。どのように実現したのでしょうか?

「私たちの基本理念は常に、優れたストーリーテリングを通じて人々の好奇心や探検のニーズを満足させることです。歴史の流れを見れば、洞窟の絵から聖書、Instagramに至るまで、人々は自らを取り巻く世界を理解する手段として物語を求めていることが分かります。私たちはそれに応えるべく常に取り組んできましたが、変化したのは伝えるストーリーの種類です」

「もともとNational Geographicは旅行や探検における発見について書かれた記録でした。信じがたいことに、当時写真の掲載を始めることは激しい議論を呼ぶ動きであり、取締役会の一部がこのビジネス上の路線変更をまともに取り合わなかったほどです(もちろん、路線変更はその後行われ成功しています)。1950年代にはNational Geographicは米映画業界の舞台美術デザイナーらによって、大半の人々が旅行したことのない場所のシーンを撮影するための参考に使われました。80年代になるとNational Geographic誌の定期購読者数は1,000万人に達し、自社チャンネルはまだ開設されていませんでしたが、テレビ向けコンテンツを制作していました。私たちは消費者が置かれている場所の、あるいは消費者が置かれるかもしれない場所のストーリーを伝えるため、常に新しいテクノロジーを取り入れてきました」

「つまり言いたいのは、私たちは”探検”を指標(North Star)にしているということです。時代が変わっても多くの人々に読んでもらえるよう、私たちは伝えるストーリーの種類や方法・場所を適応させているのです」

bc: National Geographicが成功しているのは、深遠なる人間の真実(human truth)に迫ることを目的としているためでしょうか?

「私たちが世界各地のオーディエンスについて話す場合、デモグラフィックや収入、教育水準を議論することはまずありません。話し合うのは行動や考え方についてです。彼らが何歳であろうと何語を話していようと、中南米に住んでいる65歳もインドの15歳も、世界を探検したり理解したりするための情熱や興味を同じように持っていることが分かったからです。そして私たちは彼らに何が起こっているのか、世界で何が起こっているのかについて考え、その一部になるためには彼らに何ができるのか問いかけています。また私たちは探検の概念に幅を持たせてもいます。旅行のことを指す場合もあれば、新しい体験や食べ物のことを言っている場合もあります」

「進歩している感覚や個人の成長を人々が求める傾向は強まっており、National Geographicが大きな共感を呼ぶもう1つの理由がここにあります。私たちは人々の好奇心を満たしているだけでなく、彼らが役割を担ったり影響力を持ったりするチャンスを提供しているのです。私たちはいわば社会的責任が組み込まれた組織です。非常に数多くの企業が社会的目的を探し求めていますが、私たちにはそれを作り出す必要はなく、それを果たすことが存在理由です。当社の事業の3分の1近くが、より多くの探検家がより大きな意義を果たすため、より多くの助成金を提供しています。つまり、消費者はただ受動的にテレビを見るだけで社会に変化をもたらすことになります。私たちは人々にとって重要なことを保存したり促進したりする役割を彼らに提供しているのです」

bc: 今、取り組んでいる最大の挑戦は何でしょうか?

「エンターテインメント関連で数多くのことを行っています。膨大な量のテレビコンテンツ、オンラインコンテンツを運営していますが、今後はAIやVRといった形式でのアクセスが増えていくでしょう。そういう意味では時間が非常に大きな鍵を握るようになると思います。私たちはこれらを踏まえ、ストーリーの伝え方を変えています。長尺のストーリーテリングを行うだけでなく、たった1つの画像、キャプションでストーリーを伝える場合もあります。また、VR機器のOculusで可能な表現についても研究しています。ここで浮かぶ疑問は、私たちはどうすればストーリーが持つ本来の影響力を損なうことなく、消費者が望む方法で伝えることができるか?ということです。私はNational Geographicを、人々が帰宅途中で過ごす時間に選ぶ3つか4つのブランドのうちの1つにしたいのです。私が勝ち取りたいのは人々の時間です」

bc: Disneyグループに加わることについてはどう考えていますか?

「私がブランディングコミュニティで尊敬するブランドを1つ挙げるとすればDisneyを選びます。もちろん彼らとの協業が楽しみです。Disneyが象徴するのは”魔法”、National Geographicが体現するのは”探検”です。私は”魔法”と”探検”が共生する世界を容易に思い浮かべることができます。彼らのグループ企業との連携の仕方、彼らのストーリーの語り方、彼らの自然との関わり方など、重なる点は多々あります。どのような展開になるのか、今からとても楽しみです」

 

Translated and edited from “Born Curious: 5 Questions With National Geographic EVP Emanuele Madeddu”, January 24, 2019, brandchannel.

Authored by brandchannel

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