ブランディング成功の鍵を握る ‘Brand Growth Activation Process’とは? | インターブランドジャパン

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ブランディング成功の鍵を握る
‘Brand Growth Activation Process’とは?

インターブランドジャパン
シニア・ディレクター クライアントサービス&ソリューショングループ 広井勇吾

ブランディングを成功させるために必要な要素の一つとして、活動自体に充分な時間、人材や費用を投下できる大企業であることが、成功の鍵を握っていると思われがちではないだろうか。
確かに、多くの社内外のステークホルダーが対象の場合には、ブランドのガバナンス体制や浸透の仕組みづくりなどに時間や費用が必要となり、その投資が行える環境を有する大企業が有利な側面もある。
しかし、日本の大企業が必ずしもブランディングに成功している訳ではなく、海外のグローバルブランドと比較した場合、過去の成功体験が足かせとなり、現状にしがみついてしまうことで、結果としてブランディングの機会を逸してしまうというケースを目にすることが多いと感じている。

デジタルを中心としたテクノロジー進化により、加速度的に市場環境やコミュニケーション環境が変化し、顧客から得られるインサイトも常に変容する現代においては、むしろ設立間もないスタートアップ、ベンチャー企業の方が成功を納め始めているのではないだろうか。既に大企業としてグローバルで存在感を示しているGAFAと呼ばれるプラットフォーマーやAirbnbの様な新しい事業・サービスを確立したグローバル企業は、大きな変化のうねりをチャンスと考え、ブランディングに成功し、ゲームチェンジャーとして世界経済活動の中心に鎮座していると言えよう。

一方で日本国内に目を向けると、最近はスポーツ団体・協会、地方の企業や自治体等がブランディングに積極的に取り組み、その活動が好事例として紹介されるケースが増えてきている。まず、スポーツ団体・協会では、2015年の男子プロバスケットボールリーグ「B.LEAGUE」の発足を皮切りにバレーボールリーグ「V.LEAGUE」、卓球リーグ「T.LEAGUE」などプロスポーツ化に伴い、いわゆるマスメディアを中心とした宣伝活動で認知獲得に特化する旧来のアプローチではなく、新たなビジネスモデル構築の手法の一つとして、独自の戦略でマルチなタッチポイントを活用し、いかに観客の体験価値を最大化させるかを考えたユニークな活動が各媒体で紹介をされているのを見たことがあるのではないだろうか。

そして、地方の取り組みについても、大分県別府市、広島県尾道市などの自治体のブランディングでは、流行を意識した一過性の観光誘致を主目的としたキャンペーンではなく、地元の自然・銘産品が保有する価値の再検証、働く場所、住む場所としての魅力についても改めて深掘りをし、その価値をブランディングを通じて明らかにしたうえで浸透を行うことで、日常生活のエコシステムに根ざすことを目的とした活動を行う団体が増えてきていると実感している。その結果、学生や若い就業者の移住が進み、街が活性化し、観光業以外の新たな雇用が創出されることで、新たなビジネスを生み出すことにつながっている。

そして、年々私たちインターブランドに自治体や団体のみなさまからのご相談が増えてきていることからも、地方・地域の創生においてもブランディングが果たす役割はより大きくなってきていると言えるのではないだろうか。

ここまで一般企業だけではなく、様々なフィールドに広がっているブランディングについて紹介を行ってきたが、本題である成功に必要なプロセスについての見解を述べさせていただきたい。

ブランディングの手法は、それぞれの企業、団体がおかれている環境やその状況によって千差万別であり、それぞれに適した方法を試行錯誤しながらオーダーメードで設計し実行していくことになる。
しかし一方で、ブランディングのプロセスについては、対象企業・団体の規模や歴史に関係なく、一定の共通したプロセスがあると考えている。
私たちは、そのプロセスを整理し体系化することで形式知化し、学ぶ機会の提供を目的として、2018年に新たなアワードとして「Japan Branding Awards」を設立した。
以下の図表における「Brand Growth Activation Process」は審査を行う視点としても重要視しているプロセスを明文化したチャートである。

プロセスの構造は「戦略&体験基盤構築」「体験提供」「効果検証」という3つの流れが中心となっている。その過程においてそれぞれの活動が、いかに有機的結びつき効果を生み出すPDCAサイクルを確立できているかが、成功につながるプロセスを確認する上では有効であると考えている。
昨年実施の第1回のアワードでは、計10のブランドの優れた取り組みを表彰すると同時に、具体的な活動内容についても発表を行った。受賞ブランドには一般企業を始めスポーツ団体・協会、地方企業など様々なブランドが顔を揃え、いずれ劣らず、素晴らしい取り組みを行っており、我々にとっても多くの気づきや学びがあった。

Japan Branding Awards 2018受賞ブランド一覧

その一つとして、アワード授賞式でいただいた受賞コメントの中でも印象に残っている株式会社久原本家グループ本社 代表取締役社長 河邉 哲司氏からのコメントを紹介させていただきたい(株式会社久原本家の商品ブランドである茅乃舎ブランドでの活動で受賞)。

「弊社は125年続く老舗ではあるが、本業である醤油製造だけでは、大きな成長どころか今後の継続も危惧される。そこで着目したのがブランドの育成であった。醤油以外の製品開発にも力を入れて、総合食品メーカーとしての認知を獲得できた。福岡県の田舎の企業がブランドで活力を得る事例があれば、他の地方企業にもよい影響があるのではないかと思う。」

このコメントの通り、茅乃舎ブランドの様に、独自のブランド価値に磨きをかけ、ユニークな取り組みを行なっているブランドの存在や、その取り組み内容が、より多くの企業、団体に知られることは、日本の企業にとって必ずやプラスとなるはずである。

私たちインターブランドジャパンでは、これからもこのアワードを継続し、その取り組みを評価・分析し、優れた活動をおこなっているブランドの発表を行うことで、企業のさらなる成長支援と、活動内容を学ぶ機会の提供を目指したいと考えている。
本アワードは、今年も引き続き開催を行う予定で、現在エントリーを受付(2019年6月26日締切)ている。ぜひとも、数多くの積極的にブランディングを行なっている企業・団体からの応募を期待したい。

 

Japan Branding Awards 2019について
https://www.interbrandjapan.com/ja/brandingawards/index.html

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