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ブランドチャンネル

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2020年にむけ、
ブランド価値向上に貢献する
スポンサーシップについて考えてみたい

インターブランドジャパン
チーフ・マーケティング・オフィサー 光畑 彰二

 

スポンサーシップが、ブランド価値向上につながる非常に有効な手段であることは間違いがない。これまでにも多くのブランドが効果的なスポンサーシップによって、著名になり、かつ愛されるブランドとしての地位を確立している。
しかし、いくつかのブランドでは、そのアプローチを誤り、求めていた結果に到達していないケースも見受けられるのではないだろうか。世界的なイベントへのスポンサーシップとなると、その投資も巨額となるため、投資対効果を最大化するための戦略的な取り組みが必要となる。

一般的にスポンサーシップへのアプローチには、主に「ブランドの認知向上と好意獲得」「製品やサービスの販売促進」「製品やサービスのショーケース」「ブランドにとってのVIPへのホスピタリティ」などがあると考えられ、実際には企業の事業戦略やマーケティング戦略に合わせて、これらを組み合わせて実行されているケースが多い。

 

しかし、上記のアプローチは本来の目的のための道筋であると考えるべきだろう。本来の目的とは、もちろん「ブランド価値の向上」である。そして、ブランド価値の向上という成果は、ただ、メディアへの露出量を増やしたり、販促物を配ったりするだけでは達成されない。ここで最も重要なことは、「なぜ、スポンサーをするのか」という、ブランドにとってのスポンサーシップの意義を明確にし、伝えることだ。この「なぜ」をターゲットに理解してもらって初めて、共感を呼び起こし、身近に感じてもらうことができ、その結果としてブランド価値の向上につながるのである。
スポンサーシップへの対価をコストではなく投資と考えるためには、短期的な認知向上や売り上げ拡大だけではなく、企業の無形価値として積み上がっていくものでなければならない。そうでなければ、スポンサーシップではなく、メディアミックスでの広告展開や、ディスカウントキャンペーンをしていれば、短期的には同様程度の成果が得られる可能性もあるだろう。

 

では、上記のアプローチをブランド価値の向上につなげていくための鍵は何なのだろうか。オリンピックをはじめとする多くのスポンサーシップ事例を見ていくと以下の4つのポイントが浮かび上がってくる。

スポンサーシップをブランド価値向上につなげる4つのポイント

 

たとえば、London2012以降のすべてのオリンピックでスポンサードしているP&Gは”Thank you, Mom”というテーマでオリンピックを応援している。P&Gのウェブサイトでも、「このパートナーシップは、スポーツを通じてより良い世界を構築するというオリンピック精神と、世界中の人々の暮らしを良くしていくというP&Gの企業理念が合致して実現したものです」、「オリンピックは、選手の活躍によって生まれる感動だけでなく、選手とその選手を子どものころからずっと支え続けてきた家族とのつながりを強く感じられる機会でもあります」と、P&Gがスポンサードする意義を明快に語っている。またマスメディアから店頭、インターネットなども効果的にメディアミックスし、活用することでターゲット層も巻き込みながら、ブランドを発信するだけでなく、顧客からの強い共感を得ることに成功している。

 

また、London 2012でのBritish Airways(以下BA)のスポンサードのケースを見てみよう。英国内限定のスポンサーシップ契約をしている彼らのテーマは、”Great Britons”である。London2012を通じて、英国の(そして世界の)変革を促したいという大会のビジョンとナショナルフラッグシップキャリアとしてのBAのミッションがしっかりと一体化しており、英国を愛し、英国を応援する国民、特にLondon 2012のフォーカスターゲットである次代を担う若い世代を、スポーツや文化活動を通じて変革を促す支援をすることこそがBAのスポンサーシップの意義であると位置付けられている。大会本番までの数年間を通じて、テーマである”Great Britons”のもと、アスリートだけでなく、若いアーティストを支援する活動も展開、そして大会期間中は「Home Advantage / Don’t Fly, Support Team GB」というキャンペーンを展開した。エアラインであるにもかかわらず、旅に出るより自国で応援しようとメッセージを発信し、SNSなどでも大きな反響を呼ぶなど高い成果を上げた。

 

P&G, BAともに、「なぜスポンサーをするのか」に対して、オリンピックのビジョンと自らのブランドをつなげる、明快かつ骨太なコンセプトのもとテーマを設定し、それに基づいた活動を契約期間のすべてにおいて幅広く展開。その一貫性のあるコミュニケーションの結果、大きくブランド価値の向上を実現しているのである。

Tokyo2020の大会ビジョンの3つの基本コンセプトのひとつに、「全員が自己ベスト」という項目がある。これはアスリート、大会運営そしてボランティアを含むすべての日本人を対象としたものであるが、ぜひ、スポンサーシップをしているすべてのブランドについても、自己ベストの成果を上げることを期待したい。

 

 

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