社員、パートナー、お客様との絆-心を捉え、無二の関係構築のブランドへ | インターブランドジャパン - Part 2

社員、パートナー、お客様との絆
-心を捉え、無二の関係構築のブランドへ

社内における社員の価値観や関係性、行動の質の変化:

―会社の中でもフロントにいる人とサポートの人の温度感の違いはありますか。

髙谷:特にリモートワークの始まったころリモートが進む一方で、コールセンターはやはり出社せざるを得ないわけです。

一部の人に負荷が掛からないようにという正攻法の話が必要です。一方では、コロナ禍でも、出社せざるを得ない流通センターの人たちが、届ける荷物の中に“ビューティー・ディレクター”(個人事業主~顧客一人一人のカウンセラーであり、ビジネスパートナーという存在)向けの応援メッセージを手書きで入れたりなどは、誰に言われるでもなく主体的に行っていたということがありました。ありがたいことに自らきちんと意義とかモチベーションをもって相互にサポートしあう風土があることは、目に見えない資産価値です。

 

―やはりインフラ面ではきちんと準備できていないと、そもそもこのような危機には対応できないですね。

髙谷:それはもう絶対そうです。私も家で仕事をしようと思い近所の電気店にウェブカメラを購入しに行くと、当たり前のように「どこにもありませんよ、納品は9月です」と言われました。

弊社のインフラレベルは比較的進んでいて、昨年末にいわゆる社内決定手続きの電子化も完了していました。一方で、まだまだ変えなければならないところは多くあります。

例えば委託販売契約を結んでいる個人事業主の皆さんとの契約書1つ、いまだに電子化ができていません。わざわざ印紙を貼って作っている契約書。そういうのは山ほどあります。

 

ビジネスを支えてきた顧客とこれからは、オンライン上でどのようにリアルにつながっていくべきか:

― ビジネスモデルの中では、「ビューティー・ディレクター」とのコミュニティや「ビューティー・ディレクター」とその先のお客様のコミュニティと両方がありますよね。

髙谷:両方あります。もともと弊社は“ビューティー・ディレクター”の中にカリスマ的な方がいらっしゃいます。その方たちはご自身の管轄組織・エリア外であっても、頼まれるとご自身のノウハウや体験、苦労話を全国飛び回ったりされています。特段、会社は何も指示やお願いをしていなくても、呼ばれたら現地に赴くようなコミュニティがありましたが、それこそ今の状況下ですとリアルに参加することができないので、今後はそれを会社として支えなければいけませんね。もちろんリモートでできることはありますが、地方のシニア世代の女性の方が多く、そうした方たちがデジタルでも活躍するための仕掛けづくりはより充実させていきたいですね。

実際にオンラインでのカウンセリングを、これまでの常識ではITリテラシーが高くないといわれていた年代の方たちもトライされています。

 

コロナ禍だからこそ感じるリアル店舗の価値とブランドストーリーの重要性:

―コロナ禍での価値観の変化について定着すると思われますか。

髙谷:変わる、変わると言われれば言われるほど私は、意外に戻るかなと直感したりしています。例えが小さいかもしれませんが、私自身、オンラインで買い物をしますし、それこそ生鮮品などもオンラインで購入します。自分がスーパーで選ぶわけじゃないのですから、無選別でものが届きますね。結局、自分のほうが目利きだと思うと、なんらかの機会にはスーパーでまとめて購入しようと思う気持ちのほうが強いと思いますし、やはり自分の意思決定で何か物を買うという行為そのものは、楽しいことではないかという気がします。

化粧品ビジネスにおいても、オンラインを充実させていく一方で、店頭でリアルにブランドに触れていただいて感動的だと感じていただければ、もちろん店舗もまだ価値があるし、そこで行われるハイタッチ(対面によるヒトならでは)のサービスには依然として高い体験価値があるのだと思います。

 

―エシカル消費において変わったこと、変わりそうなことはありますか。

髙谷:少しスピードは上げなければいけないと考えています。SDGsの方針もこのほど表明したところです。これまでのように製品の品質や訴求などの追求だけではなく、ベーシックに正しいことを担保していくべき側面は強いと思います。買い物袋の有料化が進んでいますが、ポーラではショッピングバッグに石灰石原料素材の「LIMEX」を採用するなど、環境負荷の低減に取り組んでいます。また、弊社は創業時から女性の就労機会を増やすことなど女性の活躍に取り組んできました。今後も、事業活動を通じ、地域に根差してビジネスに取り組む起業家マインドを持った女性を増やしていくことや、自治体との連携に取り組んでいきます。また現在、女性役員比率は約40%、管理職においても約30%が女性ですが、制度を整えるだけではなく、育成機会の充実など、性別や年齢に関わらずキャリア開発、人材育成の前提に、ダイバーシティがありますね。

 

今までにないコラボレーションで生み出される価値の可能性:

髙谷:例えば、ANAさんと一緒に取り組むこととなった宇宙コスメの開発など新しい試みは生まれつつあると思います。単に宇宙用の化粧品を開発するということではなく、無重力化での使用を前提とすると、徹底したユニバーサルデザインが求められますし、新たな価値創造につながると考えています。また、ポーラのパーソナライズドブランドである「APEX」の肌の分析システムに昨年はじめてソニーさんの肌解析サービスを採用し、両社にとって価値のあるコラボレーションが実現できたと考えています。今後もますます模索しなければいけないという認識はありますし、そういう取り組みや組織を、弊社として強化しようという方向です。

 

将来的なグローバルでの新規市場の開拓・経営戦略の変化:

髙谷:今現在、弊社はグローバルで大きなシェアを持っていませんが中国を中心にハイペースの成長が続いています。今回のコロナ禍のようなリスクはもちろんありますが、中国市場において当社が得意とするハイプレステージコスメのマーケットの成長性自体はは疑う余地はないので、注力していきます。店舗の拡大や、新たなチャネルの開発など中国市場を中心にグローバルに向けて、すべきことがまだまだありますし、マーケットそのものが地域ごとに個別に存在するのではなく、特にアジアでは美に対するこだわりや関心の高い方の大きなマーケットが存在しているのだと考えています。そうした方はまた、先ほどあったエシカルな価値、企業のあり方にも高い関心をお持ちですし、「正しく成長する」ことが求められると考えています。

 

顧客との新たな関係構築が必要:

―今後の顧客戦略をどう考えていらっしゃいますか。

髙谷:国内事業については、ポーラの主力チャネルは、エステやパーソナライズドカウンセリングなどを提供できる店舗事業で全国に4000カ所以上のお店があります。一方で、新しいお客さまをどうやって増やすかというのは、新たなビューティー・ディレクターの確保に頼っていたところがあります。“ビューティー・ディレクター”が増えれば新しいお客さまが増えるということが前提でしたが、コロナ禍もあり、いよいよ考え方を変える必要があります。この状況で、ゼロベースで“ビューティー・ディレクター”個人が自らの顧客基盤を個人が形成するためにはオンラインの活用など新しい手段を急ぎ充実させていくことが欠かせません。

 そうなってくると会社そのものも、デジタルトランスフォーメーションが急がれます。

例えばリンクルショットのような新たな価値を持った商品に加えて、顧客とのリレーションを販売現場と一体化して強くしていくことができれば、新規のお客さまを増やすことによる成長以上に、ライフタイムバリューによる成長が見込めると考えています。

 

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