“共感”を“行動“につなぐ。KIRINのパーパス・ブランディング | インターブランドジャパン - Part 2

“共感”を“行動“につなぐ。
KIRINのパーパス・ブランディング

KIRINはなぜ存在するのか?—“Why”を考え抜き、社内に広がった“共感・実感“

—社内が変わってきたと感じるきっかけやタイミングはありましたか。

KIRINは100年以上に亘り、ビールから食領域へと事業を拡げてきました。また医薬事業も40年の歴史があります。さらに3年ほど前から、ヘルスサイエンス領域やグローバルビジネスも含め、今後どのように事業ポートフォリオを拡張していくか議論を重ね、キリングループビジョン2027を発表しました。キリンはCSV経営を掲げています。私たちがなぜヘルスサイエンスに進出するのか、どんな社会課題を解決し、世の中の幸せに貢献できるのか-Whyを繰り返し、追求する場になりました。KIRINは、人々が健康で豊かで、人とひとがつながり、文化的な人生を送っていける社会に貢献したい。そのために存在したい。お酒や飲み物、ヘルスサイエンス事業もそのためにある―そんな議論を重ねたことで、パーパス、つまり企業の社会的存在意義が腑に落ち、社員の間でもその意味を実感できてきているように思います。
お酒や飲料は嗜好品であり、おいしいものを飲んで幸せになっていただきたいという思いは変わりません。飲み物・食べ物をおいしくいただき、幸せに暮らすということの意味と共に、これまで当たり前と思っていた健康や安全の価値を改めて見つめ直す機会にもなりました。

 

—リモートワークを取り入れる企業が増え、ひとつの場所に囚われずに働ける環境や、ITインフラの整備も進んでいます。この流れは変わらず、“働く場所”にあった様々な問題や物理的な課題が解消されていくと、これからは“帰属したいと思える会社なのか・働きがいを感じられる場所なのか”—が問われるようになると考えています。オープンイノベーションに関しては、今社内で様々な新しい取り組みがスタートしており、事業モデル変革にむけての仕組みや制度も整いつつあります。1~2年のうちに色々なことの萌芽が生まれつつあるような状況です。これから、いろんなことを紹介していけるのではないかなと、楽しみにしております。

KIRINは「パーパス・ブランディング」を掲げていますが、これまではどちらかというと、社外のステークホルダーを意識したものでした。しかし企業のパーパスは、働いている社員がパーパスに共感しているからこそ実現できるーという考え方に軸足を置くべき時期を迎えているのかもしれません。
KIRINは、以前からCSV経営を推進してきたこともあり、社会的な存在意義がなければ企業は続かないという危機感は非常に強い。これからは、社員との間に「世の中に対してこんなバリューを出そうとしている会社の一員だからこそ、自分もバリューを出していきたい」と思えるような関係を築いていかないと、企業の持続的成長も難しくなるはずです。パーパスに対する社員の共感度は、その企業の“働きがい”を左右する重要なファクターになってくるのではないでしょうか。

 

パーパスをブランドの強みにするために―“共感”に留まらず“行動 “につなげる

—明確なパーパスを持つブランドは、ビジネスにおいても競争力があると思われますか。

企業ブランド、商品ブランドの両面でそう思います。コロナ禍で、ますますパーパスの重要性が浮き彫りになっています。
企業の社会的存在意義、働く従業員を含めたあらゆるステークホルダーとのエンゲージメント、信頼関係などがビジネスの基盤として重要になっているからだと思います。
商品ブランドも同様です。コモディティ競争に陥ると、価格が安い商品が選ばれる。でも価格で取った売上は価格で取り返されます。これでは持続的な利益成長を生むことはできません。パーパス―社会の中で存在意義のあるブランドになる、ブランドのストーリーに共感いただくファンを増やし、顧客と一緒にブランドを育てていく。それが競争優位の源泉になる時代だと思います。マーケティングはビジネスです。だからこそオカネを払ってくださる生活者インサイトに寄り添い続けなければ、マネタイズできません。そういうブランドは、やはり強いと思います。

コロナ禍で、ますます“意識”と“行動”の関わりについて考えるようになりました。パーパスに“共感”いただき、さらにどう態度変容に結びついていくか。「いいな」と思っても、買っていただかないと、ビジネスにならない。ブランドのパーパスを本当の強みにするためには、共感いただくところから、購入する・体験するといった“行動”までつながることが重要になってくると思います。
コロナの先は見えず、まだ苦しい局面が続くかもしれませんが、これはチャンスでもあります。半ば強制的な“行動”の変化がいくつも起こっています。これまでと違った“行動”に対して、いかにチャンスを広げられるかを考えていかないと、淘汰されてしまう―この先も、こうした危機感を常に持ち、KIRINとKIRINの商品ブランドを成長させていきたいと思います。

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