コロナ禍における3つのブランドアクション-Rethink, Repurpose, Reposition いま、パーパスを"有言実行"できるかどうかが問われている | インターブランドジャパン - Part 2

コロナ禍における3つのブランドアクション
-Rethink, Repurpose, Reposition いま、パーパスを“有言実行”できるかどうかが問われている

社内に根差すJALのブランドフィロソフィ

—インナーブランディングについては、どのようにお考えですか?

在宅勤務が続く中で、私たちは今後どうなるのだろう、仕事はどのように変わっていくのだろうと考える社員も多いと思いますし、インナーブランディングは非常に重要になってくると思います。

特に、私たちの企業活動はどの方向を目指しているのか、私たちが生み出している価値や存在意義とは何か。これからどんな世の中に変わっていくのか。私たちがつくっている価値を、もう一度みんなで考え、分かち合うような機会ができたと思っています。このままでいいのか、あるいは、どうやって新しい価値を一緒に考え、創っていくのかを、インナーの中でも考えていけると良いですね。

こうした時に、私たちが立ち返るのが、JALフィロソフィです。私たちJALには「FLY INTO TOMORROW」というブランドの考え方がありますが、より良い明日に向かおうという社会の進歩、発展を願う想いがあります。このフレーズに、私はいつも“Better”という言葉を付けて、よりよい明日のために、社会の進歩、発展のために、私たちは何ができるか?ということを考えるきっかけにしています。

これは非常にありがたいツールであり、ありがたい文化だなと思います。壁にぶつかった時に、JALフィロソフィの中から、なんらかのヒントを貰える。社員それぞれが、フィロソフィの中に、自分にとって重要だと思えたり、自分に語り掛けてくるように感じられる部分がある。こういう大変な時期にこそ、JALフィロソフィが力を発揮しているのではないかと感じています。

 

JALブランドが目指す新たなポジションとありたい姿

—JALはこれからどのようなブランドを目指し、成長していきたいとお考えでしょうか?

これからは、外的環境に対して受け身になり、ただ環境を受容するのではなくて、その環境に自ら積極的に入り込んで、新しい環境や望ましいビジネスエコシステムを一緒に創っていくという視点が非常に重要ではないかと思います。自分たちにとっても、ほかの社会の構成員、経済を構成するステークホルダーにとっても、“利他の心“で同時に望ましい形をつくる。ある程度、痛みを伴うこともあるかもしれませんが、最終的に、それが望むべき理想の社会の在り方なのであれば、実現を目指して行動を起こしていく必要があると考えています。

ゼロサムゲーム的に、生き残りのために他はどうでもいいという発想ではなく、外部の環境を見ながら顧客とのパートナーシップを結ぶ、サプライチェーンの中の関係を見直すなど、みんながWin-Winになるような、理想的なエコシステムが出来上がるシナリオを描き、今後のあるべきブランドのポジショニングを考えていきたいと思っています。

 

—これからのJALブランドの目指す方向性として“Wellness”を起点に考えていらっしゃると伺いました。
この“Wellness”については、どのような点にJALらしさを見出し、追求していこうとお考えですか?

Wellnessという言葉は、いろいろな企業で使われていますが、例えば、航空業界の中で、どういう意味でWellnessという言葉が語られているのか。お客さまが感じるWellnessとは、私たちが提供しようとしているWellnessとは、一体どのようなWellnessなのかを考えているところです。

言葉として共通する部分はたくさんあるかもしれませんが、各企業によって、同じ言葉でもかなり意味合いやニュアンス、それを実際に具現化する方法などは、かなり違ってくると思います。

例えば、航空や旅におけるWellnessっていうのはどういうものなのか。もちろん心身のストレスから解放され、新しい刺激を受けてリフレッシュするといったWellnessもあれば、友人、同僚、家族の絆が深まる、あるいは新しい知識を得るということもある。総合的に人生の満足度を高めていくような意味でのWellnessを、もう少し具体的に掘り下げたいと考えています。

また、社会的なWellness、旅行先・観光先の地元の経済に対して、私たちのポジションで、どのようなインパクトを与えることができるのか。経済的な波及効果や地元経済への貢献という観点も併せて、広くWellnessという視点から何らかの実行・実践にチャレンジしてきたいです。

Wellnessというものを、旅行する個人のWellnessだけではなくて、社会全体の進歩や発展に貢献するようなWellnessと捉え、もう少し幅広い視点を以て今後の可能性を探っていこうと思っています。

 

 

<編集後記> Rethink、Repurpose、Repositionを通じて見えてくるNext new normal 

コロナ禍においてJALブランドが取ったアクションは、いま一度立ち止まり、資源再配分する・あるべき姿を改めて見直すまったく新しいことに取り組むというより、これまでの延長線上でRethink、Repurpose、Repositionする―という3つのアクションに集約できるように思いま 

JAL社内にはブランドフィロソフィがしっかりと根差しており、顧客の声に耳を傾け、行動結びつけることができる柔軟性としなやかさを備えた組織であることは、JALの強みであり3つの“Re”を具現化・実行するドライバーとなっているのではないでしょうか「顧客を深く見つめる洞察力が備わっており、行動を起こす際の「拠り所基準が明確その信念が社内に浸透している」ブランドは、どのような状況に置かれても前を向く強さがあることを再認識したインタビューでした 

コロナ禍において様々なブランドが翻弄される中、ネクスト・ニューノーマルは、目の前にある危機的状況への単なる対処に留まることなく、将来に目を向け本質的な活動を積み重ねる中にこそその端緒が見えてくるかもしれません。 

インターブランドジャパン CEO 並木将仁 

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