コロナ禍における3つのブランドアクション-Rethink, Repurpose, Reposition いま、パーパスを“有言実行”できるかどうかが問われている | インターブランドジャパン

コロナ禍における3つのブランドアクション
-Rethink, Repurpose, Reposition いま、パーパスを“有言実行”できるかどうかが問われている

ブランドリーダーズインタビュー

ますます先の読めないコロナ禍において、各社のブランドリーダーはどのように変化の波を捉えているのか。変わるもの、変わらないものを浮き彫りにするインタビューシリーズ。 

第2回:光益 彰氏

日本航空株式会社 商品・サービス企画本部 グローバルマーケティング部 部長

 

コロナ禍における3つのブランドアクション
-Rethink, Repurpose, Reposition いま、パーパスを“有言実行”できるかどうかが問われている 

―コロナ禍におけるブランドの在り方をどのように考えていますか?

新型コロナの感染拡大がきっかけとなり、ニューノーマルの中で定着していくような新しい動き・行動変容も生まれてきていると思いますが、ブランドとして普遍的に備えておくべきこと、当然すべきことに気づかされることも多く、これまで以上に意識する場面が多々ありました。特に、コロナ禍においては、ブランドの“パーパス“にフォーカスする企業が多かったのではないでしょうか。企業としてブランドの約束を果たしきちんと実践しているのか、本当に言葉だけでなく行動に結びつけることができるのかどうかが、私たちが想像する以上に、注視されていると感じています。様々なアンケート調査の結果を見ていても、いま消費者が最もブランドに対して期待しているのは、言葉だけでなく、実行だと思います。いち早く自社の資源をRepurposeし、企業姿勢をきちんと示せるかどうか。そこに、ブランドによる違いが出てくるかもしれません。いま、私たちJALブランドも、その在り方が問われていることを痛感しています。 

危機に直面した今だからこそ、ブランドの在り方を再考できる

新型コロナという、本当に大げさな言い方をすると、一生に一度あるかないかという大きな出来事に直面し、世界中に影響を受けている人がたくさんいらっしゃる。一方で、これは、私たちが立ち止まり、考える時間、考える機会を与えてくれているという捉え方もできると思います。 

ここで、本当に一回立ち止まって、過去を顧みて、考える。これから先を、これまで私たちが取ってきた行動をそのまま踏襲してもよいのか。それとも、これを契機に、私たちが思い描くあるべき姿に変えていくべきなのか。

 

航空輸送事業のリソース活用×社員発の活動による“JALらしい”取り組み

―世界中が危機的状況に直面する中、JALではどのような活動を行っていらっしゃいますか?

様々な制約があり、今も簡単に移動や旅行もできない状況が続いていますが、JALの主軸である航空輸送事業を活かした医療物資の輸送や、スタッフが実際に困っている場所でボランティア活動をするなど、様々な活動に積極的に取り組んでいます。

まず、私たちのような航空運送業が率先して取り組むべきことを考える際、何が大きな“ペイン・ポイント”―お客さまが抱えるストレスや不安—になっているかに着目しました。今は多くのお客様が、「本当に、飛行機に乗っても大丈夫ですか?」「どんな機内環境で守ってもらえるのでしょうか?」といった懸念を抱えられています。特に、機内の消毒や抗菌、機内食サービスの見直し、パーティションの設置など、短期間での準備が必要でした。予約のキャンセルや変更に関してもかなりの柔軟性が求められましたが、様々な不安材料を取り除くために、エアラインとして、空港として、お客様に正しい情報を提供し、安心・安全に利用していただけるよう最大限の努力を続けています。改めて、お客さまが直面するペイン・ポイントへの素早い対応と改善を重ねていきたいと考えています。

 

―JALブランドとして取り組むべきアクションに関する社内の議論や動きはいかがですか?

物資の輸送などについては、思いつきやすく、会社としても比較的すぐにアクションが取れるようなRepurposeができたと思います。一方で、例えば、マスクづくりのボランティアなどは、社員から自発的に出てきたものです。社員一人ひとりが、今、私たちができることは何だろうかと、ブランドのパーパスを自分ごとに捉え直し、どういうアクションを取るべきかを考えて行動に移した結果です。これは、生きているブランドだからこその証ではないかと感じています。

 

—社内リソースの再配分・再活用という点では、既に実践的な取り組みにも着手されていますね。

フライトが減り、余剰人員が出てきた際に、逆に人材が足りない所が社内にあるのではないかと考えて、まず社内をひとつの大きな労働市場として捉えてみました。そこで出来たのが、社内で人材をマッチングし、配属するという仕組みです。マーケティング部門でも、客室乗務員の方と一緒に仕事をすることによって、いわゆる日本のおもてなしや日本式サービスの“暗黙知” の部分を、具体的に海外の皆さんに紹介し、伝えられないかと考えています。

 

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