成し遂げるべきものは変わらない。揺るがないAJINOMOTOの“今”に迫る | インターブランドジャパン - Part 2

成し遂げるべきものは変わらない。
揺るがないAJINOMOTOの“今”に迫る

完璧なプランなど存在しない。どうアジャイルに対応できるかが重要

—機動性がすごく重要になりますよね。個々のタイミングで何かが起きてから物事を判断していると、たぶんきっかけを逃してしまう。ある程度、事前にこういう状態になったら考えないといけないときと、分水嶺をポイントで建てておいて、それを見ながらアジャイルに動かしていくっていうことの方が、きっちりとしたロードマップを作って考えるよりも必要になってくるのかなと思いますが、いかがでしょうか。

ロードマップもそうですし、みんな計画を立てるのに相当エネルギーをかけますよね。弊社も中計に恐ろしくエネルギーをかけて作るし、商品の計画もそうで、計画を作るところでまず相当なエネルギーが必要になる。上市したところで、もうエネルギーほとんどなくなっている。完璧な計画なんて私は絶対立たないと思っています。以前ダイレクトマーケティングの仕事をした時、ものすごく実感して学んだことですが、出してからが勝負なのです。出してから、いかに走りながら最適化していくか、あるいは成功につなげていくか、もっとそのステップを磨くことを考えたほうが良いと思います。
もちろん、なんでもいいから出せばいいわけではなく、誰に対してどんな価値を届けるかというWHATの部分は開発段階で精度をあげることは必要です。一方でどのようにしてその価値を届けるのかというHOWの部分は、変化の激しいこの時代においては仮説に基づく綿密な計画をたてるよりもまず市場にだしてみて走りながらチューニングしていく、勝ちパターンをみつけていくというやり方があっているのではと思っています。

 

—ガバナンスとシナリオマップをどう設定するかのほうが、ブランドで考えると、アジャイルに何かしていかなきゃいけないときには向いているのではないでしょうか。ただ、日本企業で、ここに力を入れているところは、すごく少ないと思うのですが。

そうですね。アジャイルという要素を入れてしっかりブランド強化していくために、ガバナンスとシナリオマップが必要というのは、今とても共感しました。
日本の「ほんだし」に代表される風味調味料(だし)は、ASEANやブラジルでは国ごとに違う商品名で展開しています。味ももちろん違います。それは「without compromise」(妥協しない)というアプローチにも繋がりますが、全世界共通ではなく各々の地域の食生活に寄り添う、地域の食に妥協しないという考え方です。
一方で風味調味料として提供する価値は<手作り料理をおいしく>、<家族のだんらん>など共通で、<おいしさ><家庭料理><栄養バランス><人との繋がり>などの価値イメージでAGB(グループコーポレートブランド)に貢献することは同じです。どの商品ブランドをどの範囲で活用していくか、そこにどんな価値をためていくか、は主要なブランドについてはGHQで管理していかないといけないと思っています。

 

コロナ禍が生んだ気づき。ワンチームという意識

—従業員の変化はいかがでしょうか。在宅勤務が進むというだけでもいろいろ影響あったかと思いますが、一番気になっている部分を教えてください。

HP内にコロナと闘うCOVID-19特設サイト(グローバルサイト・日本サイト両方)をスタートさせました。まず緊急事態宣言後、CEO西井が「コロナとワンチームで闘う」と声高に発信しました。そして経営会議メンバーによるワンチームメッセージ動画を発信しました。この動画は経営会議メンバーが自宅で自撮りをしてそれを担当者が編集して作成したのですが、そこにはITに強い若い人の力と、まずやってみようという海外の事例からの学びがあったと思います。これらのメッセージで海外メンバーを含めてワンチームとしての一体感のベースが出来たと思います。
また8月末まで月1回ペースで5回にわたりCEOメッセージ動画もサイト内にアップして社内外に発信しました。従業員の安全から始まり毎回AJINOMOTOグループは世界中でCOVID-19と闘う人々をサポートするために今どんな取り組みをしているか、ということを、従業員皆が分かるように説明しました。アミノ酸が消毒剤や洗浄剤の素材(界面活性剤など)として使われていること、PCRプライマーにも活用されていること、ワクチン開発にも不可欠な医療用バイアルを供給していることなど、食品事業以外にライフラインに直結するアミノサイエンス事業の取り組みも多く紹介しました。当社は事業領域が多岐にわたるので、食品事業とアミノサイエンス事業の取り組みをお互いがあまり知らないのです。動画メッセージは「うちの会社はこんなこともやっていたのだ」ということを特に若いメンバーが知る機会にもなりました。それはとてもよかったことだと思っています。

 

—リモートの一番大きな課題は何だと捉えられますか。

当社は働き方改革でリモートワークやペーパーレスが進んでいたので、かなりスムーズに在宅勤務に移行できたと思います。ただそろそろ”Face to Face” で行わないときついという面がでてきたように感じています。
リモートは人間関係ができている時、どんな考え方をする人だとか、どんな価値観を持っている人とか、こんな表情の癖がある人だとか、そういうことが分かっている中でやる分には、日常的な業務は問題ないと思います。ただ、人間関係ができていないと難しい。弊社の場合は年に1回、7月に人事の大異動があるので7月以前と7月以降は状況が異なると思っています。
6月末までは3か月間ぐらいでしたから出社率は2割を切っていましたがほぼ問題なくできたと思います。期間が長くなるとルーティーン以外に年度計画の策定や方針の見直しなども必要です。そこに異動でメンバーも変わった。今、マネージャーは丁寧にメンバーの気持ちや状況をフォローする必要があると思います。

 

—コロナ禍に入ってから従業員エンゲージメントサーベイは実施されましたか。

今、実査中です。グローバルでやっているのですが、11月には結果が出てきます。年1回の実施です。前は2年に1回だったものを、年1回にしました。

 

—従業員の愛着や感情に、リモートワークが影響を与えて、それが結果としてロイヤルティーやエンゲージメントという形で見えてくると思いますが、どの程度の影響を与えているとお感じですか。

先ほどお話したとおり7月以降は、心配な要素が大きいですね。自分は組織の中でどんな位置付けでどういう仕事をしているのか、組織や会社のビジョンとの繋がりが見えなったり、分からなくなったりしている人が増えているのではないかと心配です。実際に人と接することが少なくなったことでメンタルに支障をきたす例も出てきています。
グローバルに大枠ではコロナ禍においてワンチーム・一体感は醸成されていると思いますが、直近はエンゲージメントにマイナスの影響がでている人もいると思います。エンゲージメントサーベイの結果を読み込み、メンバーの声を聞き、丁寧にフォローしていくことが必要ですね。

 

価値の連鎖が結果を生む

—貴社の複数のブランドを跨ぐ提供価値コンセプトについて、どんなコンセプトが有効に機能しうるのでしょうか。

「アミノ酸のはたらきで食と健康の課題を解決する」というビジョンがあり、アウトカムとして「10億人の健康寿命を延伸する」を掲げています。そして6つの重点事業のアウトプットがどのようにアウトカムやビジョンに繋がるのかを整理しました。このアウトプットからアウトカムへの道筋がとても大事で、その道筋にある価値イメージを策定し、それを向上させるべくマーケティング活動を展開していきたいと今考えています。また事業アウトプットからアウトカムへの道筋の整理は、各従業員が自分の仕事がどのアプトプットに繋がりその先のアウトカムにどのように繋がっているのかを理解し、それに向けて各人が頑張るという意味でもとても大事だと思っています。

 

「AJINOMOTOらしく」世の中に貢献することこそ最高の姿

—最後に、今後のAJINOMOTOブランドの飛躍に向けてお考えになっていることをお聞かせください。

今パーパスがとても大事になってきていて、世の中どうやって良くしていくのか、どう貢献できるのかということが、これからの生活者求めてくることだと思います。 
一方でウエルネスとかウェルビーイングは、多くの企業が目指すことでもありますそういう意味でAJINOMOTOならではのユニークネスであるとか、AJINOMOTOらしいアプローチがとも大事になってくる従業員皆がコアコンピタンスとセットでビジョンにこだわり、誇りをもって自分の仕事に取り組むこと、それが最高の姿だ思っているので、AJINOMOTOらしさ大事にしていきたいと強く思っています。 

 

(インタビュー:2020年10月2日)

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