We give our clients the confidence to make Iconic Moves

新しいコネクションエコノミーにおける適合性とリスク

私たちは、しばしば自問することがあります。「もし、この混乱が収束しなければどうなるだろう?」と。 

現在、ブランドを取り巻いている非連続性、変動性、崩壊が、すでに既成事実化しているとすれば、それらはブランドにどのような影響をもたらすのでしょうか?このダイナミズムは、ブランディング構築における最も標準的なこれまでの概念に対して極めて挑戦的であり、私たちに異なる考え方を迫るものです。 
インターブランドのアリーナ・プログラムでは、これらの構成要素の中でも最も不安定な要素、すなわち「競合」にフォーカスを当てています。 

従来のブランド戦略では、同じ業界に属する同タイプの製品やサービスを提供する主要プレーヤーを「競合」と定義してきました。ところが今日、競合は、共通する顧客ニーズに対応可能なあらゆるカテゴリー、つまりアメリカの経済学者、クレイトン・M・クリステンセンの定義を借りれば、「Jobs To Be Done(なすべき仕事)」からもたらされるかもしれません。さらには、お金や時間など、共通の顧客資源をめぐってせめぎ合うカテゴリー同士が競合化することもあります。このような状況の変化は、ブランド戦略が、業界内ではなくアリーナに向けてフォーカスされる必要があることを意味しています。 

コロンビア大学ビジネススクール教授のリタ・マクグラスは、「雪は端から溶けていく」「競争相手が自分の業界内にいると考えていると、大きな盲点が生まれる」と指摘しています。ブランドにとっての大きなチャンスも、存続の危機も、今日ではその業界の中心にいるお馴染みのメンバーではなく、周辺からもたらされる可能性が高いのです。 

インターブランドは、この進化に対応するため、アリーナコレクティブを開発しました。これは、ヒューマントゥルース(人々の思考や行動の奥にある真理)、エコノミクス、エクスペリエンスの専門家からなるグローバルかつ複合領域を横断するグループで、独自の視点でクライアントの変化を見極め、競争戦略の再構築や強化を支援するものです。アウトサイドインとフューチャーバックの視点から、業界の常識ではなく、進化し続ける消費者の期待に基づいた、競争環境に関する新たな視点をお届けします。 

アリーナコレクティブは、スポーツ、ゲーム、エンターテイメントなどの「Play」領域に加え、ファッション、高級品、サービス、アートなどを表現する「Express」領域、さらにはモビリティ、物流、交通など、人や物を動かす「Move」領域へと広がるニーズを、進化する消費者の期待に応えるために整理したものです。本レポートでは、人とモノを「Connect」することを競うブランドについて考察します。 

すべてが「コネクト」する世界 

30年前の本格的な情報化社会の到来以来、「Connect」によって、アイデア、動き、成長、習慣などが、かつてないスピードとスケールで変化し続けています。それに伴い、「Connect」は、ニーズや将来性として、経済と社会のあり方に見直しを迫ってきました。 

AI研究の世界的権威、レイ・カーツワイルは、今後100年間で、人類は過去2万年分の技術革新を経験すると予想しています。 

今後の「可能性の10年」の間にも、新しいテクノロジーの普及によって人とモノのつながり方が進化し、かつては数10年を要した変化が数年、あるいは数ヵ月で実現することになるでしょう。 

新たな「コネクト」の手法や接点が現れ、成熟し、進化するにつれ、「つながり方」もまた、次々と岐路に立たされ続ける。 

これは、ブランドにとって何を意味するのでしょうか。すべてです。Connectの手法と接点が生まれ、成熟し、進化するにつれて、適合性の危機の波は、次々と押し寄せてきます。この変化を生み出したConnectブランド自体さえ、他のブランド同様に、この波に対しては脆弱な存在に過ぎません。 
例えばWeb 1.0 の出現時に栄華を極めたAOL、MySpace、Nokia、Blackberry などのブランドは、Web 2.0 が誕生して新しい接続方法が登場すると、時代遅れとなって顧客の離反を招き、適合性もブランド価値も失ってしまいました。そして、Web 2.0がその力を、分散・オープン・没入型の「Connect」へと移行するとき、ブランドの多くは、これまで以上に流動的な競争環境に対する適合性を問われ、存亡の危機にさらされるでしょう。 

「Connect」は、動作環境、アリーナ、ブランド、動機づけを、まさに一度に行うものです。故に、Connectアリーナがもたらす影響は、あらゆるブランドにとって最も重要であることは明らかです。Connectの影響は、AppleやMicrosoft、Meta、Googleなどのブランドはもとより、ナイキ、マクドナルド、シャネルの未来を形作る上でも決定的なものです。デジタル・エンゲージメントのルールが変化する中で、彼らはその適合性と価値を維持し続けることができるでしょうか? 

本レポートでは、グローバルなConnectコネクティブが創造する新たなコネクションエコノミーを検証し、コンバージェンスアジェンダ(融合・統合、標準化)がどのようにつながりを促進し、今後のリスクを軽減することができるかを明らかにします。 

Translated and edited from “ INSIDER VIEW – Relevance and Risk in the New Connection Economy ”:  
https://interbrand.com/thinking/relevance-and-risk-in-the-new-connection-economy/