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WORKMAN

林 知幸 様
株式会社ワークマン
CMO

Best Japan Brands 2026
ブランドリーダーズインタビュー

これまでにない変容を続ける環境の中で、ランクインしたリーディングカンパニーは今後の成長のためにどのようにその変化を捉え、対応しようとしているのか。 各社のブランドリーダーが 3つの質問に答えるインタビューシリーズ。

問1. どんな1年であったか:

この1-2年を振り返ってみて、貴社の事業やブランドにとってどのような年でしたでしょうか。達成できたこと、やり残したことなど、お聞かせください。

従来の戦略を大きく変更した1年でした。作業服という単一セグメントからスタートしたWORKMANは、アウトドアやバイクをテーマにしたマルチセグメントに移行し、「機能性」を軸にしたものづくりでお客様を拡大してきましたが、これらはいずれも小さな市場での勝負でした。昨年は、従来とは異なる規模を追求する「マス化」へと舵を切ったのです。
とはいえ、WORKMANの強みは「機能性」にあります。したがって、目指したのは、それを活かしたマス製品をお届けすること。私たちはそれを「市場創造型マス化戦略」と呼んでいます。リカバリーウエアや熱暑リスク軽減ウエア、UVカットウエアなどのヒットも生まれ、客層拡大が実現した実感はあります。近年は、SNSマーケティングやアンバサダー、インフルエンサーを核にしたコミュニケーションに徹していたのですが、この3月からはCMも6年ぶりに再開。手応えを感じています。
もちろん、やり残したこともあります。マルチセグメント戦略時代には生産数も少なかったので欠品も頻繁で、CSの低下を招いていました。そこでマス化戦略に実践するにあたり、欠品を出さないことを課題にしたのですが、それでも一部で欠品を出してしまいました。それは、今後解消していきます。

問2. Change – 変化と対応:

この1-2年において、様々な変化があったものと思われますが、貴社にとっての主な変化とその対応について、お考えをお聞かせください。

いまや生成AI抜きに、変化は語れないと思いますが、当社は意外と活用できていると感じています。
じつはWORKMANには会員カードやポイントがなく、コード決済も使えません。DX化のベースになる顧客データが極めて少ないなかで現場に最適なフィードバックをするために、従来から全社員がエクセルを駆使して、商品が売れている時間や量などを把握し、販売に役立てる教育を徹底してきました。そのせいか、課題や目的意識がクリアな社員が多い。プロンプトが重要なAIでは、それが活用できていると感じています。
そして、夏の殺人的な暑さは日本だけの変化ではありません。台湾や東南アジアなどでも、そこに対応する「機能性」が求められています。日本市場でより上を目指す一方で、今年はグローバルに本気で取り組む1年になると考えています。

問3. Challenge – 未来への課題:

今後の中長期スパンでの経営目標や、その達成に向けたブランディングの役割、活動予定等について、お考えをお聞かせください。

中長期的には、海外も含め、マス化戦略商品で全体の売上の50%をつくることが目標です。マス化は単なる大衆品ではなく、顧客の切実な問題を解決できる「機能性」を備えた市場創造型商品であるべきです。2024年の能登半島地震の際、日赤のある先生から「着ている服が生死を分ける」という話を聞きました。いざというとき役に立つのは、防水・耐久撥水、防寒、発熱などの機能性です。私たちは、そんなときにこそ、なくてはならないブランドに成長していきたいと思います。
確かな「機能性」を満たした上で、マス化のためにより重要なのはデザインです。購入決定においては、機能的価値よりも情緒的価値が勝ちます。ときには一番の売りである「機能性」を隠して、かっこいい、かわいいなどを前面に打ち出した製品開発、コミュニケーションのあり方に努めていきたいと考えています。
単一セグメントからマルチセグメント、そして大衆化へ。その変革のなかでずっと大切にしてきたのは、自分たちの強みをお客様にわかりやすく伝えること。ヒット商品は商品部がつくるのではなく、お客様とのコミュニケーションによって生まれるのです。それがブランド力になり、海外にもつながっていくと思います。可変的なマーケティングで、常に先手をとっていきたいですね。