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Sekisui House

足立 紀生 様
積水ハウス株式会社
常務執行役員
コミュニケーションデザイン部長

Best Japan Brands 2025
ブランドリーダーズインタビュー

これまでにない変容を続ける環境の中で、ランクインしたリーディングカンパニーは今後の成長のためにどのようにその変化を捉え、対応しようとしているのか。 各社のブランドリーダーが 3つの質問に答えるインタビューシリーズ。

問1. どんな1年であったか:

この1-2年を振り返ってみて、貴社の事業やブランドにとってどのような年でしたでしょうか?
「ひと言」で表現するとすれば、どんな言葉で表すことができるでしょうか。その「ひと言」の背景や意味合いなどもお聞かせください

ひと言で言うなら「地殻変動」。ここ数年緩やかだった顧客の変化が一気に顕在化した1‐2年でした。
これまで戸建住宅顧客の情報収集の始点は住宅展示場であり、リアルの場を見て回るのが常でしたが、最近はクチコミやサードパーティから客観的な情報を収集し、紹介経由の引合い化の増大など、効率的に最大の効果を狙うタイパを意識したアプローチが顕著になっています。また、顧客のセグメンテーションも重要になっており、それぞれの特性に合わせたアプローチも必要です。
グローバル展開の加速により、アメリカの想定年間着工戸数が日本を上回っているのも大きな変化です。

問2. Change – 変化と対応:

この1-2年において、様々な変化があったものと思われますが、貴社にとっての主な変化とその対応について、お考えをお聞かせください

今後は、経済格差や世代間の価値観の違い、さらには地域差などにより多様な個人ニーズに寄り添った1to1マーケティングの重要性が高まっていきます。その意味でもインサイトワークに一層力を入れる必要があり、変化に対して敏感であることが求められます。また、情報スピードの在り方や正当性、正確性に対する意識の持ち方にも議論が必要です。昨今マスメディアや政治といった従来のフレームに対する信頼性に陰りがあり、また企業広告より身近な人のコメントを信じ、体験価値や情緒的な共感を重視していると感じます。顧客のジャーニーを考える中で、社会課題や地域貢献への取り組みを通じた共感が伝わるような施策へシフトしていっています。
当社は戸建住宅はもとより集合住宅におけるZEH(ネットゼロエネルギーハウス)で業界をリードし、在来種を植える庭づくりで自然を残す「5本の樹」計画や、多くのサプライヤーと共に住宅の材料すべてをリサイクルして新たな家をつくる「House to House」プロジェクトなど、社会や地域への貢献に積極的に取り組んできました。いずれもこれから継続していき、世の中に伝えていきたいと思っています。

問3. Challenge – 未来への課題:

今後 (これからの1-2年で)、貴社の事業やブランドにとってどのようなこと(変化)が起きると考えていますか?その変化による課題に対して、どのような準備が必要だとお考えでしょうか

社会の変化や不安が増大する中で、個々の生活においては守りの要素が強くなり、家族というユニットや家のあり方の重要性はますます高まると考えています。当社のグローバルビジョンである“「我が家」を世界一幸せな場所にする”をお客様に提供していきたいと考えます。
地震大国である日本に安心安全で良質な住宅ストックを増やしていくために、当社はオリジナル耐震技術をオープン化し、パートナー企業とともに木造住宅の耐震性能を強化する業界初の共同建築事業「SI事業」を開始しました。「良質な住宅ストック作り」は当社は重要視しており、今後は加速していきます。
また、若い人たちは、価値観に共感できる企業かどうかを重視しています。家づくりを検討している顧客だけでなく、潜在顧客やすでにオーナーとなっている方々にも、私たちの価値観をしっかり伝えて、より深い結びつきを築いていくことが次の成長につながると考えています。