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ASICS

富永 満之 様
株式会社アシックス
代表取締役社長 COO

Best Japan Brands 2025
ブランドリーダーズインタビュー

これまでにない変容を続ける環境の中で、ランクインしたリーディングカンパニーは今後の成長のためにどのようにその変化を捉え、対応しようとしているのか。 各社のブランドリーダーが 3つの質問に答えるインタビューシリーズ。

問1. どんな1年であったか:

この1-2年を振り返ってみて、貴社の事業やブランドにとってどのような年でしたでしょうか?
「ひと言」で表現するとすれば、どんな言葉で表すことができるでしょうか。その「ひと言」の背景や意味合いなどもお聞かせください

「可能性」を感じる1年でした。昨年、創業75周年を迎えましたが、その長い歴史の中でものづくりのテクノロジーはずっと磨き続けてきました。一時の低迷は、ものづくりと販売、ブランド戦略等がばらばらだったことが原因です。
2018年から、カテゴリー基軸の経営管理体制の導入や、高価格帯商品への集中、野球市場の縮小、逆にパリ2024オリンピック・パラリンピックやランニングイベントへの投資の推進など、選択と集中を進め、やるべきことを地道にひとつひとつ積み重ねてきました。その結果、ファンクションだけだったブランドのパーセプションが、ようやくクールになってきたと感じています。
24年12月期は売上高と純利益ともに過去最高。株価もここ1年で約3倍になりました。しかもこれが頂点ではなく、まだまだ可能性を感じています。

問2. Change – 変化と対応:

この1-2年において、様々な変化があったものと思われますが、貴社にとっての主な変化とその対応について、お考えをお聞かせください

大きく変わったのはデジタル分野です。もともと当社はホールセールの会社でしたが、お客さまとの接点を拡大すべく、アプリやレースの登録会社を買収するなどD2C強化をすすめ、Eコマース比率は約20%にまで向上しました。単にセールスだけでなく、デジタルはブランドの可能性を大きく成長させました。たとえばビジネスとして東京マラソンを見た場合、かつてはEXPOからレース当日までの3日程度が勝負でしたが、今では1,700万人以上のメンバーシッププログラムOneASICS会員向けに情報やブランドの世界観を発信し、6ヵ月前から絆をつくっていけます。
デジタルとスポーツの親和性は、元来とても高いものです。今後は、デジタルに長年スポーツで培った知見を融合させることで、データを活かしたパーソナルコーチングやシューズのカスタマイズなどにも挑んでいきたいと考えています。

問3. Challenge – 未来への課題:

今後 (これからの1-2年で)、貴社の事業やブランドにとってどのようなこと(変化)が起きると考えていますか?その変化による課題に対して、どのような準備が必要だとお考えでしょうか

真のグローバル展開が、これからのチャレンジになるでしょう。実はすでにアシックスに対するブランド評価は海外の方が高いのですが、新興国はこれから。巨大な市場でどう伸ばしていけるか。また、スポーツスタイルカテゴリーやオニツカタイガーは市場が大きいのでまだまだ可能性があると思っています。
一方で、創業哲学である「健全な身体に健全な精神があれかし」のもと、より多くの人々の心身の健康に貢献するため、社会的または経済的な理由で困難な状況にあり、スポーツへのアクセスが限られている人々をグローバルで支援する財団を設立予定。世界中の人々の心身の健康に貢献したいと考えています。