We give our clients the confidence to make Iconic Moves
75

Meiji

古田 純 様
明治ホールディングス株式会社
取締役専務執行役員
(Chief Sustainability Officer)

Best Japan Brands 2024
ブランドリーダーズインタビュー

これまでにない変容を続ける環境の中で、ランクインしたリーディングカンパニーは今後の成長のためにどのようにその変化を捉え、対応しようとしているのか。各社のブランドリーダーが5つの質問に答えるインタビューシリーズ。

この1-2年を振り返ってみて、御社の事業やブランドにとってどのような年でしたでしょうか。

原材料相場の高騰や円安影響によるコストアップへの対応に追われ、守りの経営を強いられた苦しい2年間でした。あらゆる商品で価格改定を行ってきましたが、ここにきてようやく改定した価格も定着してきましたので、本年4月以降は新たな成長戦略の実践とともにブランド価値の向上を目指していきます。ただ、見方を変えれば30年間続いたデフレからようやく脱却できたことは、逆に喜ばしい状況とも言えます。 

組織や事業全体として (担当部門として)、対応する領域や範囲はどのように変わってきているでしょうか。

この1年、国内では新たなチャレンジはありませんでしたが、海外事業はコストアップの逆境をはねのけて増収基調となっており、海外売上高比率は上昇しました。 
中国事業は現地の経済成長の鈍化により停滞気味でしたが、この3年で種まきはできました。昨年から本年にかけて新たに3工場を加えて6工場体制となることで、供給体制のみならず販売エリアの広がりも出てきます。アメリカ事業も拡大傾向にあり、2024~2026年度の新たな中期経営計画では食品事業の海外比率を現状の9%から大きく飛躍させたいと考えています。 

想定を越える社会や人々の変化に対して、事業として、ブランドとしてどのように対応してきていらっしゃるでしょうか。

価格面でも価値観でも消費の二極化が進んでいます。また、ファミリーユースが減って1人および2人世帯向けの小容量・中容量ニーズが高まっています。こうした消費環境の変化の中で、Meijiはハイエンドなブランドイメージを構築していきたい。そのためには、おいしさだけでなく、機能性や栄養、健康効果などの付加価値訴求が必要となります。エビデンスのある機能情報の発信など、食と薬を併せ持つグループの強みをさらに発揮していきたいと考えています。 
また、サステナビリティの観点からは、人の健康だけでなく、社会の健康、地球の健康に貢献していくブランドとしてのメッセージを展開し、コーポレートブランドとプロダクトブランドのシナジー効果も是非生み出したいです。 

社員の働き方や意識は、どのように変わったと感じているか。ワークライフバランス、効率性やエンゲージメント、社内コミュニケーションといった社内カルチャー、社員の価値観などに、どのような影響があり、それにどのように対応してきていらっしゃるでしょうか。

在宅勤務が定着したことで、特に子育て中の社員には非常に良い環境になったと認識しています。社内コミュニケーションに関してもTeamsやチャットの活用により、特に問題は感じていません。 
一方でエンゲージメントスコアに改善が見られず、特に工場などの現場サイドの結果が芳しくありません。守りの経営により不採算商品の生産が中止される一方で、新商品が投下されない状況に、現場は将来への不安を感じているのかもしれません。そこで、現場の若手が経営の現状を理解できるよう、タウンホールミーティングをはじめとした経営陣との対話の機会を設けました。こうした施策とともに業績が上向けば、エンゲージメントスコアの改善も期待できます。 

パーパスや経営の理念、ビジョンなどの重要性が論じられていますが、それらを事業活動の中で、どのような形で活かしていらっしゃるでしょうか(実体化に向けてどのような取り組みをされているでしょうか)。

2018年にスタートした「明治グループ2026ビジョン」の終わりがそろそろ見えてきましたので、「グローバル企業への転換」と「食・薬シナジーの最大化」を図るための新たな長期ビジョンの策定を考えています。従来のコーポレートブランドのイメージである「おいしさ」「楽しさ」「安全・安心」に加え、「健康」という要素をどのように付加するか。将来の明治を担う若手たちの意思も汲み取りつつ、新たなビジョンを策定したいと思います。 
来年度以降は、大いに攻める経営に切り替え、スピーディな意思決定により失敗を恐れずにイノベーティブな商品を出していくことが、喫緊の経営課題だと捉えています。