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LION

阿曾 忍 様
ライオン株式会社
コーポレートコミュニケーションセンター
コーポレートブランド室 室長  

Best Japan Brands 2024
ブランドリーダーズインタビュー

これまでにない変容を続ける環境の中で、ランクインしたリーディングカンパニーは今後の成長のためにどのようにその変化を捉え、対応しようとしているのか。各社のブランドリーダーが5つの質問に答えるインタビューシリーズ。

この1-2年を振り返ってみて、御社の事業やブランドにとってどのような年でしたでしょうか。

原材料の高騰や為替変動の影響を受け、業界全体としては苦しい面がありましたが、そのなかでも「より良い習慣づくりで、人々の毎日に貢献する(ReDesign)」というパーパスに基づいて既存事業の拡大や新規事業への挑戦を続け、海外事業ではバングラデシュやベトナムへの参入も実現させています。「ものづくりのメーカー」から「習慣づくりのエキスパート」として、成長加速に向けてギアチェンジしていくための土台を整えてきた数年だったと捉えています。

組織や事業全体として (担当部門として)、対応する領域や範囲はどのように変わってきているでしょうか。

まず事業としては、生活者とライオンの関係性を途切れることなく築いていくために、例えばオーラルヘルスの領域では商品提案だけでなく、お客様のあらゆるライフステージを通じて継続的に関わり価値を積み重ねていく文脈価値を捉えた商品やサービスの提案を始めています。
ライオンの資源を活かした、お口の健康から従業員の豊かな毎日を支える法人向け健康経営支援サービス「おくちプラスユー」はその一つです。既に多くの企業様、健康保険組合様に導入いただいています。また子ども向けオーラルケアプログラムのおくち育「噛もっと!」や高齢者の方に向けたサービスの提供も始めました。
一方、コーポレートブランディングを推進する上では、パーパスを策定・明瞭化した後に共感・賛同を社内で育んでいくフェーズから、それを自分たちの役割や業務に結びつけるフェーズへの移行を意識しています。新たにスタートした新人材マネジメントでは、目標設計にもパーパスの実践とのつながりを織り込んで自組織や個人の目標を立てていくように、インナーブランディングのチームが行うワークショップと人材開発の部門が一体となって進めました。制度や研修などにおいての連携・協働を強化して企業理念浸透の活動を推進しています。

想定を越える社会や人々の変化に対して、事業として、ブランドとしてどのように対応してきていらっしゃるでしょうか。

ライオンは、生活者に寄り添うだけでなく、社会課題の解決に寄与できるような、新たな習慣を生活者に提案し続ける企業でありたいとパーパスにその思いを込めています。
わたしたちが携えるビリーフスの一つに「変化こそ、私たちを進化させる」があります。急激な社会や人々の変化は確かにありますが、それをネガティブではなくチャンスと捉え、新しい価値の創造につながる提案に挑戦し続けていきたいと考えています。
またレピュテーションリスクへの対応にも力を入れ、インテリジェンスを高めて適時適正に情報発信できるように努めています。100年以上長く存続する企業は倫理感を持ち合わせていることが分かってきており、改めて企業倫理にも着目しています。

社員の働き方や意識は、どのように変わったと感じているか。ワークライフバランス、効率性やエンゲージメント、社内コミュニケーションといった社内カルチャー、社員の価値観などに、どのような影響があり、それにどのように対応してきていらっしゃるでしょうか。

ライオンならではの働きがい改革を進め、社員の働きがい向上につながる諸施策に取り組んでいます。リモートワークは言うまでもなく、フルフレックス制度の導入や副業の解禁も先んじて行っており、柔軟な働き方に対応しています。
より良い習慣づくりを通じて人々の行動変容を促していくには、社員自身も新しい価値観を働き方や生活に取り入れて行動を変容させていく必要があります。しかし従来の価値観での働き方や生活スタイルのままではイノベーションに対する視座が獲得できず、生活者の中にある潜在的なニーズやインサイトも見えてきません。リモートワークや副業などを通して見えてくる新たな習慣もあると思っています。

パーパスや経営の理念、ビジョンなどの重要性が論じられていますが、それらを事業活動の中で、どのような形で活かしていらっしゃるでしょうか(実体化に向けてどのような取り組みをされているでしょうか)。

「より良い習慣づくりで、人々の毎日に貢献する(ReDesign)」による目指すイノベーションの形を具体的な戦略として「Positive Habits(ポジティブ・ハビッツ)」と定義し、事業やブランドの戦略に反映させて、各領域や分野の取組みを推進しています。
この戦略でライオンが2030年までに目指すサステナビリティ最重要課題の「健康な習慣づくりで延べ10億人」の社会的インパクトに到達するためには、製品やサービスの質を高めるだけでなく、より多くの習慣実践者や多くの習慣回数に結び付く独自性や便益となる価値を提案していく必要があります。
パーパス経営という経営手法に対して、そのプロトコルを整えていくことが重要になると考えており、パーパス経営を社内で実装・実体化させていくために、リーダー層に対する研修では、パーパスを定めた後のビジョンやインパクト、アウトカム、戦略などがどのような関係でつながっているのか、共通の認識や理解をつくっていく目線合わせの取り組みも行っています。また社員の企業理念の理解を深めるために、望ましい発言や行動を実践して社内で共有を図り、パーパスの実践、ビリーフスの体現が称賛される組織文化につなげていく取り組みも進めています。