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ASICS

富永 満之 様
株式会社アシックス
社長COO

Best Japan Brands 2024
ブランドリーダーズインタビュー

これまでにない変容を続ける環境の中で、ランクインしたリーディングカンパニーは今後の成長のためにどのようにその変化を捉え、対応しようとしているのか。各社のブランドリーダーが5つの質問に答えるインタビューシリーズ。

この1-2年を振り返ってみて、御社の事業やブランドにとってどのような年でしたでしょうか。

この数年は、失いかけていた自信を取り戻した1−2年だったと感じています。 
新年の大学駅伝では競合が厚底シューズでイノベーティブな成功を収める陰で、私たちは惨敗。それまでの固定概念やランニングのトップブランドであるという奢りを捨て、2019年11月に社長直轄で「Cプロジェクト」を立ち上げ、スピード感を持って立て直しを図りました。ここがターニングポイントでした。成果は早々に上がり、2022年7月には、2022オレゴン世界陸上競技選手権大会でアメリカ代表のマラソン選手男女6名のうち3名がアシックスのシューズを着用。うち2名が入賞を果たしました。 
視点を変え、スピード感を持ってやれば出来る。それが社内全体に波及できたことが最大の収穫だったかもしれません。 

組織や事業全体として (担当部門として)、対応する領域や範囲はどのように変わってきているでしょうか。

ASICSはもともとホールセールへの卸売り中心の会社だったので、じつは実際の顧客と対面する機会は多くありませんでしたが、D2Cへのシフトを進め、アプリやレースの登録会社を買収。D2C比率が40%に高まり、データが取れるようになったことで顧客が見えるようになってきました。ロイヤリティプログラムであるOneASICSも奏功し、ビジネスがデータドリブンになってきたことが、最大の変化かもしれません。 
また、以前はブランドに対して、カテゴリー、リージョン、コーポレートがそれぞれの立場で取り組み、リーダーシップが明らかではありませんでしたが、カテゴリー毎にマーケティング部門を設けてから、統制も取れ始めてきたと感じています。 

想定を越える社会や人々の変化に対して、事業として、ブランドとしてどのように対応してきていらっしゃるでしょうか。

健やかなココロとカラダを育むためには、健やかな地球環境が欠かせません。地球温暖化対策、いかにCO2を削減するかは、ビジネスにとって極めて重要な課題です。ランニングをする気も起きないような未来など、想像したくありません。 
また、未来を担う子どもたちにスポーツに親しむ場やエデュケーションの機会を提供することも推進しています。子どもたちが遊びながら自然にスポーツが好きになれる「ONE FUTURE PROJECT」はそのひとつ。文部科学省の調査報告によると、子どもたちの体力は昔と比べて大幅に下回っているそうです。本プロジェクトは核家族化や共働きなど生活様式の変化や、さまざまな社会課題に対し、子どもの運動不足の解決を目指しています。 

社員の働き方や意識は、どのように変わったと感じているか。ワークライフバランス、効率性やエンゲージメント、社内コミュニケーションといった社内カルチャー、社員の価値観などに、どのような影響があり、それにどのように対応してきていらっしゃるでしょうか。

スポーツやグローバルに対するモチベーションが高い人が入社するケースが多く、エンゲージメントはもともと高い方だと思います。今後は、海外で働きたい人や、デジタルに関心の高い人にとって、よりチャレンジのしがいのある会社になることを意識しています。 
ASICSのパーパスは、スポーツ&運動を通じて世界の人々の生活の向上に貢献することです。それを実現するために、事業を進化させ、時には変えていくことが必要になります。私たちのビジネスはよりグローバルへ、Eコマースやデータ分析へ、ものすごく変わっていますが、社内には、前の方が良かったと考える人もまだいます。でも、その変化を楽しいと思う人を増やしたいですね。 

パーパスや経営の理念、ビジョンなどの重要性が論じられていますが、それらを事業活動の中で、どのような形で活かしていらっしゃるでしょうか(実体化に向けてどのような取り組みをされているでしょうか)。

ASICSを、スポーツ領域だけにとどまらないGlobal Integrated Enterpriseへ変革していくために、まずは、2020年に策定されたVISION2030を、事業として体現していきたい。これから3年間が正念場だと思っています。