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丸亀製麺(株式会社丸亀製麺 、株式会社トリドールホールディングス)

「心的資本経営」として、従業員のハピネス(EX)が感動(CX)を生み、それが業績向上に直結する好循環を設計。感性と科学を融合させ、思想を競争優位の因果構造にし、飲食業界に革命を起した活動

課題・背景

讃岐うどん専門店である丸亀製麺は、人口減少と働き手不足の下、独自の経営思想と成長戦略をたて、業績・企業価値向上のモデルを実践し、唯一無二の成長とミッション実現を目指している。

戦略

丸亀製麺は、2022年のグループスローガン「食の感動で、この星を満たせ。」に基づき、2023年に『感動体験No.1』をビジョンとして制定。2025年には人的資本経営を深化させる「心的資本経営」を戦略構築し、ブランドエクイティピラミッドを刷新した。注目すべきは、あえて「心」を経営の中核に埋め込み、偶発的ではなく再現可能な資本として扱った点である。従業員のハピネス(EX)が感動(CX)を生み、それが業績向上に直結する好循環を設計。感情を資本とみなし、心の最大化を独自の指標としてKGI・KPI化した戦略は、古典的EX→CXモデルを進化させた卓越した試みである。これにより、新カテゴリー商品や五感体験、ソーシャルグッド活動を通じ、唯一無二のブランド価値と成長を実現している。

実践

丸亀製麺は、上述の心的資本経営を基盤に“心”を資本化した戦略を、制度・文化・技術の三位一体で組織に浸透させている。麺職人と製麺所ならではのうどんづくりの実演を中核に据え、五感に訴える体験導線を構築すると同時に、「丸亀うどーなつ」など意外性ある商品でエントリーポイントも創出。ハピカンオフィサー制度や家族食堂制度等、現場を支える制度を起点にEXを醸成し、アプリやダッシュボードでEX・CXをタイムリーに可視化。科学的根拠に基づき施策を更新することで、幸福と感動を再現可能な資本に変換し、従業員の自主性と創造性を最大化。これにより、飲食業界の3K(きつい・給料が安い・休日がとれない)を払拭する社会変革を目指し、広くステークホルダーに影響を及ぼす運営モデルに挑戦している。

結果

丸亀製麺は、国内初のハピネススコアにより約3万人の従業員の幸福度を定点観測し、店舗でのハピネス向上アクションと従業員専用アプリやAIエージェントによるアドバイスでEX向上し続けている。CXでは感動スコアにより食後の感情を可視化し、EXとの相関を数値化。両者を統合することで、業績寄与に直結するKGIモデルを確立し、将来はSocialグッドスコアも組み込む予定。心的資本経営やハピカンオフィサー制度、家族食堂制度はメディアで注目・高く評価され、SNSでも広く言及された。丸亀うどーなつの累計2,000万食突破や新商品による新規層獲得は、EX向上とCX改善の好循環を証明し、離職率低下や採用志望動機の向上、2期連続の過去最高売上・利益に結実。感性と科学を融合させ、ブランド価値と業績を同時に高める運営モデルを実証している。

評価コメント

丸亀製麺の取り組みの面白さは、表層の施策にあるのではなく「背後の経営思想の設計」にある。多くの企業が“理念”や“ビジョン”を掲げても、それは経営とは接続しない「標語止まり」になりがちだ。丸亀製麺が行ったのは心的資本という一見扱いにくい抽象概念を、「計測」「フィードバック」「改善」という循環の中に組み込み、偶然ではなく意図的に再現可能にした点に本質がある。EX(ハピネス)→CX(カンドウ)→業績(ハンジョウ)という因果の“筋道”が明快で、感情が資本として“活きた構造”になっている。釜揚げの現場からデータダッシュボードまでがひとつのロジックで貫かれ、ブランドと業績が同時に伸びている。この一致は、思想が単なるスローガンではなく競争優位の因果構造として成立させている点を高く評価したい。