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Kanadevia(カナデビア株式会社)

BtoB企業が、企業の存在意義を改めて明確化し、社内外の共感を得てビジネス成長につなげていくことを目的に、トップ主導で、ブランディングを経営課題解決の手段として継続的に全社を挙げて取り組んだ活動

課題・背景

2002年の造船分離から20年余り、「Hitz日立造船」というブランドのもとで事業展開を行ってきた。しかしながら、その事業実態は「環境」「機械」「インフラ」を中心としたSDGsやESGに貢献する事業であり、コーポレートブランドと事業実態に乖離があった。そうした背景もあり、社内外において「Hitz日立造船とはどんな会社か」という点についての認識にばらつきが生じており、今後の継続した事業成長に向けて企業の存在意義を改めて明確化し、社内外に共感を得てビジネス成長につなげていくことを目的とした取り組みがスタートした。

戦略

カナデビアは、現中期経営計画において「環境セグメント」、「機械・インフラセグメント」、「脱炭素化セグメント」の既存セグメントに加え、「脱炭素化(CN)事業」、「資源循環(CE)事業」、「安全で豊かな街づくり」、「水事業」の4事業を今後の成長事業として定めている。そうした今後の目指す事業の在り方をもとに、ブランドコンセプトを「技術の力で、人類と自然の調和に挑む」と定義し、Hitz Value、2050年に目指す姿「サステナブルビジョン」、2030年に向けた経営戦略「2030Vision」における新しい経営方針体系に落とし込んでいる。また、そうした将来の経営の意思や方向性をより分かりやすく可視化するために、2024年10月に社名を「日立造船」から「カナデビア」に変更、あわせてグループブランド体系も整備し、多くの国内外グループ会社も「Kanadevia」ブランドに統一した。ここでのポイントは、決して最初から「社名変更ありき」でスタートしたのではなく、ブランド戦略を構築して初めてそのギャップを埋めるための手段として社名変更の意思決定がなされたことである。また、ブランディングの目的を企業理念体系を体現できる人材づくり、人的資本経営に資する取り組みと位置付けている点にある。

実践

商号・ブランド変更に当たっては、2023年9月の適時開示直後は社内で驚きと一定のハレーションがあったものの、まずは社員に対してその理解と共感を得るべく、今後の成長戦略も併せてトップ自らがすべての事業所を訪問し丁寧に対話を重ねることや階層別ワークショップや社内イベントを開催することで、2024年10月の商号変更日を前に徐々に社員およびそのご家族の機運醸成と求心力の向上に成功。その後も継続的に社内エンゲージメントを強化・体質化していくために、ブランドマネジメントグループを事務局として、ボードメンバーを中心とした会議体や、フェーズやテーマごとに各専門部門(知的財産部門、経営企画部門、人事部門、サステナビリティ推進部門等)を巻き込みながら通常業務としてブランドに関する会議体が設定されている。社外ステークホルダーに対しては、特に優秀な理系人材確保が重要な経営課題である中、企業の存在意義を伝えるためのTVCMと事業理解を深めるYouTube長尺CMを連動させてメインターゲットと定める理系人材にリーチするコミュニケーション施策も展開して成果につなげている。

結果

グループ従業員においては、具体的に行動変容が成果として見られ始めている。例えば、大阪・関西万博、CEATEC、COPへの参加等、業界でのプレゼンスを上げようという機運の高まりや、営業現場からは「お客様に対して改めて事業の説明をしやすくなった」などの定性的な効果、そして定量的にもInterbrandのブランド力スコアのうち、社内4指標のうち3指標の向上がみられる。特に経営課題でもある採用面においては、カナデビア本体へのエントリー数、応募数、内定受諾率ともにアップし、特に2026年卒の技術系入社予定者は直近5年で最も高い計画充足率となるなどの効果がみられており、その効果はグループ各社の採用面においても波及している。

評価コメント

カナデビアは、将来の事業の方向性に合わせてブランド戦略を構築し、その戦略に基づいたブランド規定の仕組みづくりや組織構築、社内への丁寧なエンゲージメント、社外へのタッチポイントを通じたブランド実感の創出といった一連の活動を全社挙げて取り組んで成果が出始めているという、B to Bビジネスにおけるブランディングの成功ケースといえよう。とかくB to Bビジネスにおいては、「ブランドが経営に与える意義・効果」について社内経営層が一枚岩になり切れずに、ブランドコンセプトの策定以降は失速してしまうケースが多くみられる中、経営課題解決の手段としてブランディングをトップ主導で継続的に取り組んで成果につなげているそのプロセスは、多くの日本におけるB to B企業の参考になると思われる。