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Japan Branding Awards 2025 贈賞式レポート

RISING STARS:MOMOTARO JEANS(株式会社ジャパンブルー)
児島から世界へ 唯一無二の「育てる」贅沢  

「Japan Branding Awards(JBA)」は、優れたブランディングの取り組みを形式知化し、企業が共通軸で学び合う場をつくることを目的とした、日本初のブランディング専門アワードだ。本稿では、ワークウェアと見られがちなデニム製品をロングライフの芸術品に転換し、世界に向けた情報発信にも精力的に取り組み続けるジャパンブルーのブランディングに注目する。 

「特濃」ブルーで世界を魅了
デニムの消耗品イメージを覆す挑戦 

岡山県で1992年に創業したアパレルメーカーであるジャパンブルーが展開する「MOMOTARO JEANS」は、地元(倉敷市児島)のデニム生地を使用し、これまで熱心な愛好家から支持されてきた。しかし、顧客層や市場は限定的であったことから、2023年にリブランディングに着手。使い捨てではない10~20年のロングライフブランドへと転換を図り、持ち主とともに育っていくライフタイムパートナーとしてブランドを差異化する戦略に舵を切った。 

今回の審査での評価ポイントは、“商品を購入した後に育てていく”という新たな発想で事業・サービスを展開し、ブランドの体験価値向上に繋げている点だ。消耗品と捉えられがちなデニムのイメージを覆し、ライフタイムパートナーとして本質的な価値をサステナブルに提供し続ける要注目のブランディングと言えるだろう。

ジャパンブルー 
アパレルブランド事業本部 MD統括部 統括部長兼 
マーケティング事業本部ブランド統括部 統括部長 
船木 雄基氏

創業時のジャパンブルーは、独自開発した濃い藍色のデニム生地「特濃」を販売する事業が中心だった。その後、糸を染める「アトリエ」、布を織る「テキスタイル」、服を縫う「アパレル」の3事業部体制に業務内容を拡大。糸を染め、布を織り、服を縫い、直接客に届ける「産地直結で一気通貫」の仕組みは、同社の圧倒的な強みとなった。2006年には「MOMO TARO JEANS」を発売し、ヴィンテージの忠実な再現でコアな愛好家の支持を獲得していたが、顧客層が限定的であったことから、さらなる市場拡大と地元産業の活性化に向けて、さらなるチャレンジを続けることとなった。

児島の魂を100年先へ 
伝統と技術を次世代へつなぐ 

同社が2023年に着手したリブランディングでは、デニム文化の創造と継承を担い、世界にその価値を届けることをミッションに設定。「MOMOTARO JEANS」を日本発のグローバルなデニムブランドに進化させることを目標に据えた。その実現に向け、単なるアパレルブランドではなく、用の美を追求する「クラフトとしてのブランド」への転換を図った。使い捨ての消費財ではなく、持ち主と共に10年、20年と時を刻みながら育っていく「ライフタイムパートナー」としての存在へと立ち位置を大きくシフトさせたのである。

その象徴として、全てのラインアップにブランドのアイデンティティである「特濃」を採用。漆黒に近い深い藍色は、職人による至高の手仕事と日本の美意識が凝縮された、時間と共に完成していく芸術とも言える存在だ。この「育てる文化」への共感は、今や世界中で強いブランドロイヤリティを生み出している。 

製品ラインも見直し、ワークウェアと見られがちなデニムパンツの腰回り内側にスラックスのようなマーベルトを施して、高級感を演出した。また、デニムにシルクやカシミアを混紡した生地を開発し、同様に高級志向のアパレル製品に展開した。「従来のデニムの常識を覆す肌触りと洗練されたシルエットを実現し、世界のファッション愛好家を魅了し始めています」(船木氏)。これに加えて、すべてのデニム製品に永年修理保証を付け、購入者が服を長年かけて育てる文化を体験価値として提案し、愛好家の共感を獲得している。 

海外だけでなく、日本国内のファッション愛好家にも新製品をアピールするため、新たに、東京、京都、大阪、福岡などにコンセプトストアを出店。アパレル製品を商品として陳列するのではなく、美術館が芸術作品を展示するような扱いとした。海外に向けては国際展示会に出店し、パリにもコンセプトストアを出店済みだ。また、日本とグローバルの文化的解釈を横断する地域未来牽引企業として、「人×技術×地域経済」の好循環から生まれる高品質・高付加価値の商品、技術を軸に、世界のファッションアカデミーや大学・教育機関との交流も行い、その活動を発信している。 

「MOMOTARO JEANSのリブランディングはまだ始まったばかりで、デニム文化と児島の土地から生まれた技術、それを愛する人の情熱を次の100年先へ届ける責任が私達にはあります」(船木氏)。

まとめ

近年の地域産業の衰退を受け、国産ジーンズ産業の持続可能性向上を事業課題として、リブランディングを開始した「 MOMOTARO JEANS」 は、新素材デニム(カシミヤ/シルク混紡など)の開発など新たな取り組みを通じて製品のロングライフ化を推進し、日本発のラグジュアリーブランドとして世界に向けた挑戦を続けている。