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Japan Branding Awards 2025 贈賞式レポート

SILVER:ZENB(株式会社ZENB JAPAN) 
捨てた皮や芯がご馳走に、ZENBが描く食の変革 

おいしさと健康は両立できる——そんな常識への挑戦が、いま新たな食の価値を生み出している。「Japan Branding Awards(JBA)」は、優れたブランディングの取り組みを形式知化し、企業が共通軸で学び合う場をつくることを目的とした、日本初のブランディング専門アワードだ。本稿では、多くの企業が挫折してきた、社会課題の解決と事業継続の両立を実現しているZENB JAPANに注目。顧客へのビジョン浸透を命題に掲げる同社のブランディング戦略に迫る。

社会課題を利益に変える 
ZENBが証明したブランドの持続力 

ミツカンは創業215周年の2019年、健康に配慮して添加物や動物性原料を使わない食品のスタートアップ企業としてZENB JAPANを立ち上げた。ブランド名も「ZENB」で、従来製品では製造過程で廃棄していた、植物性原料の皮や芯、さやなどの部位を、ミツカンが培ってきた技術を活用して丸ごと使うコンセプトが由来である。

ZENB JAPAN社長の濱名誠久氏は、「ここまで山あり谷ありの連続でしたが、ブランドはお客さまの心の中に宿るものと考え、その信念のもとに取り組んだチームの振る舞いの結集が今回の結果につながりました」と感慨を噛みしめた。 

ZENB JAPAN 社長 
濱名 誠久氏

ZENBのブランディングに向けた取り組みは、ミツカンが2018年に立案した中期5カ年計画に遡る。ミツカンが50年後、100年後と生き残っていくために何が必要か、役員を中心に徹底的に議論し、2019年にステークホルダーに向けて「ミツカン未来ビジョン宣言」を公表した。この中で「おいしいとカラダにいいは、ひとつになれる」「人と社会と地球の健康に貢献する」という未来への方向性を示し、これをもとに生まれたのがZENBである。

365日×6食の提案 
新主食ZENBが描くサステナブルな未来 

ZENBマーケティング&ダイレクトグループリーダーの佐藤武氏は、「おいしさと健康の両立は非常に難しいミッションでしたが、おいしさと栄養をすべて植物性の素材から取ることをメインのポリシーに掲げて、社員一人ひとりの振る舞い、行動、意識に刷り込んでいくところからスタートしました」と語る。ブランドロゴ等の表層のデザインではなく、まずは「チームの振る舞い」そのものを整えることが、ブランドの土台になると考えたからだ。

ZENB マーケティング&ダイレクトグループリーダー 
佐藤 武氏

濱名氏も「ブランドは結局のところ、信念のもとに取り組んだチームの振る舞いの結集である」と述べ、この一貫性がブランドの信頼に繋がると強調した。 
次にこのビジョンを具現化するため、「モノづくりの約束」を箇条書きで公開し、社内のものづくりのレギュレーションとしても活用した。 

こうした方向性のもとで、2020年に黄えんどう豆を100%使用したグルテンフリーの麺「ゼンブヌードル(丸麺・細麺)」を発売。関連商品として、この麺によく合う「ZENBラーメンスープ」「パスタソース」なども展開した。豆の栄養を丸ごと摂れる「新主食」として、糖質オフや健康を意識する層に支持され、同社の主力商品となっている。

製品を提供するうえで、同社が顧客とのコミュニケーションで重視したことは、売り手として製品の機能、便益だけを推すことなく、ZENBのビジョンを先に伝えて顧客にまず共感してもらうことだった。このため、期間限定のポップアップ店舗を設置することで徐々に消費者の認知と体験を高めていきつつ、通販主体で販売する戦略を採っている。また、社員がこうした指針に従った行動をすぐ取れるように、実践的なイベントを粘り強く実施してきた。

加えて、生活者に向けた食生活の提案活動にも取り組んだ。例えば、毎日朝昼晩にブランチ、3時のおやつ、夜食を加えた「365日×6食」の食事を、ZENBが提供する約50商品で網羅する生活を提案。関連する取り組みとして、企業の福利厚生としてオフィス内でのZENB商品を提供するサービス「OFFICE ZENB」も進めている。こうした着実な取り組みで足元を固めつつ、長期的には「時代を超えていくようなブランドを作ろう」(濱名氏)と壮大なビジョンを描いている。

まとめ

ミツカングループは2019年に「Mizkan 未来ビジョン宣言」を公表し、「美味しさと健康の一致」を体現するスタートアップ子会社としてZENB JAPANを設立した。ミツカンが培った技術を基に新たな素材をまるごと味わう技術を開発し、「植物由来のナチュラルな品質」を実現する新食品を展開。通販、ポップアップ店舗での販売を通じて、製品の機能だけでなく、開発の背景にあるビジョンを顧客に理解してもらう取り組みでブランド価値を高めている。