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丸亀製麺

コロナ禍の危機感の中、ブランディングと顧客体験価値向上を生き残りのカギととらえ、2020年4月の分社化時に、ビジョンを新たに策定。顧客体験N0.1をビジョンとし、ブランディングを推進し、アフターコロナへ向けた新たなビジネスモデルと成長戦略をブランド力強化により、持続性のある新たな成長軌道に乗せた活動

課題背景

コロナ禍以前、商品プロモーションを展開し売上を作っても顧客は定着せず、業績は右肩下がりが続いていた。そのような中、「ここのうどんは、生きている。」をコンセプトとするブランディングを展開し、ブランドがどうなれば強くなるかの議論ができる土壌が形成され、業績も順調に向上し始めた。ところが、2020年4月にコロナ禍が発生。その後の生き残り策として、創業以来20年間のEat in(店舗体験)ビジネスにおけるブランディング(丸亀製麺1.0)からの進化が課題となった。

組織体制

コロナ禍発生の2020年4月に分社化され、トリドールホールディングスの子会社となった。その際、経営トップのリードにより、新会社としてのビジョン「顧客体験No.1」を策定し、、マーケティング本部と営業本部(店舗)が主導し全部門が強く連携したブランディングが展開された。店舗(Eat in)だけでなく、持ち帰りを通じた顧客体験の拡大や新商品の開発、「共創」をテーマに想いが一緒のパートナー(株式会社TOKIO)や地方自治体との協業など様々な取り組み、全社横断で「顧客体験No.1」を目指し活動を展開した。(丸亀製麺2.0)

戦略・実行

丸亀製麺2.0では、店舗(Eat in)と持ち帰りのハイブリッド型ビジネス確立と新商品「丸亀うどん弁当」によるイノベーション、新たなブランド戦略の中核として新ブランドキャンペーン「うどんで、あなたを驚かせたい。」と、共創をテーマにした「うどんで日本を元気にプロジェクト」によるブランド力強化、人が心遣いする「おせっかい」で差別化し、顧客体験価値を高める戦略(おせっかい戦略)が事業戦略の柱とされた。また、QSCを中心とした自社品質基準(丸亀スタンダード)につながるような設問を盛り込みNPSと再来店意向をトラッキング(10万件/月)し、店舗ごと自店の状況に合わせた店舗体験の改善活動を継続して実施している。
社内では、「効率化」だけで顧客の「感動体験」につながらない企画は通らず、逆に、一見、「非効率」に見えても「感動体験」につながる企画が採用される。例えば、それまでの肉うどんは「寸胴」に作り置きされたものだったが、新商品の「焼きたて肉うどん」は、その都度、顧客の目の前で肉を焼くスタイルに変更し、味覚のみならず視覚や聴覚などの五感に訴えることで、「感動体験」につなげている。
「おせっかい戦略」は店舗従業員の行動指針だけでなく、CX向上の柱となっている。社長は週半分以上、地方の店舗を訪問するタウンミーティングで「おせっかい」の重要性を説いている。従業員同士のSNSで互いの「おせっかい」の情報を交換したり、「今日も、いいおせっかいをしよう」という朝礼が各店舗で実施されている。マーケティング部がこんな「おせっかい」でこんな「ツイート」が出ていたという社員への情報提供を週イチで実施している。社員の「おせっかい」の時間をつくるために、DXを推進し発注作業やシフトづくりなどの店舗事務時間の削減を推進している。

活動の成果

コロナ禍にありながら、新たなブランド戦略が奏功し2022年度上期における丸亀製麺部門の売上高は過去最高となった。。また顧客体験価値(CX)ランキング2022において第一位という評価を獲得、さらにⅤ字回復の立役者「丸亀うどん弁当」は発売から1年で約2000万食を達成する大ヒット商品となった。さらにトリドールホールディングスの株式時価総額も9月に過去最高を記録するなど、業績向上と企業価値向上に大きく貢献した。

ご担当者様コメント

丸亀製麺(トリドール)には、「お客様を集めるのではなく、『感動体験』でお客様を創造する」という考え方がある。丸亀製麺ならではの人の力を大切にし、非合理の中に勝ち筋を見つける二律両立を実行するとともに、五感・感情・本能に訴える『感動体験』をさらに磨き、選ばれ続けるブランドへ進化していきたい。さらに全社員会議でも、外食産業の枠を超えて、自らを「感動創造業」に変わると宣言したが、2023年はビジョンを顧客体験No.1から『感動体験No.1』へ進化させ、唯一無二のブランドになれるよう努めていきたい。、そして今後は、国内だけでなく、世界同時多発的に『感動体験』を中核においた戦略「KANDOトレードオン戦略」をグローバルに仕掛けていきたい。

評価コメント

コロナ禍という特に外食産業にとって致命的な危機が発生した際、生き残りのカギとして「顧客体験価値」を中心に据えるブランド戦略を展開。それまでの創業から続くEat inビジネスにおける顧客体験1.0からTake outとEat inのハイブリットビジネスにおいて、お客さまや外部パートナーと共に価値を創造する顧客体験2.0にレベルアップさせました。顧客体験価値を高めるため、「顧客体験No.1」をビジョンに掲げ、店舗だけでなく本社も含めてすべての部門、すべての社員が連動し「感動体験こそがお客さまを創造する」という会社哲学を実践し、顧客からの支持を多く獲得したことを大いに評価しました。