B2Bブランディングにも 「エモーション」は必要か? - インターブランドジャパン

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B2Bブランディングにも
「エモーション」は必要か?

*本アーティクルは、B2Bソフトウェア大手 SAPのグローバルブランディング担当シニアディレクター、Joe Pantigoso氏による特別寄稿です。

先日、あるスタートアップのグループが自分たちのブランドの定義をするプロセスをサポートする機会がありました。ブランドの現状の棚卸しとそのフレームワークについて話し合っている時、スタートアップのリーダーの1人がこう言いました。「この会社はB2Bの会社です。ブランドの情緒的ベネフィットについて考える必要はありません」

企業にいる多くの人たちは「情緒的ベネフィット(emotional benefit)」がB2Cブランドのためだけにあると信じています。彼らはB2B製品・サービスの購入にしばしば多額のコストがかかること、複雑な調達プロセス、製品・サービスが期待外れだった場合に起こりうる事業への影響などを考慮して、B2Bブランドはもっぱら「機能的ベネフィット(functional benefit)」に集中すべきだと考えているのです。

しかしBain and CompanyのコンサルタントはHarvard Business Reviewに最近発表した論文で、「業務用製品・サービス購入の裏にある、合理的・情緒的両方のあらゆる要因」をよく考慮することが重要だと主張します。

論文は、ブランドが買い手の「不安を和らげ」たり「評判を高め」たりできるかなどといった情緒的ベネフィットがB2B製品・サービス購入に与える影響についても言及しています。信頼性、確実性、パートナーシップなどあらゆる情緒的ベネフィットが、B2Bの意思決定を左右しうるというのです。

Think with Google」によれば、Googleとマーケティング調査会社MotistaがB2Bブランド36社に対して実施した調査がそれを裏付けています。「個人消費者が買い物で失敗しても損害は比較的軽微だ。最良のケースであれば返品がきき、返品不可であっても配偶者への釈明が必要な程度である。しかし業務上の購入では巨大なリスクが伴う。数億ドルのソフトウェア購入にかかる責任は、失敗すれば業績悪化や失職さえ招きかねないほど重大だ。このリスクを克服する情緒的なつながりがなければ、B2B顧客は購入しない」

市場調査会社のForresterはB2Bに関するレポートでこうした情緒的ベネフィットをチャンスとして取り上げ、ブランドのことを「買い手の恐れを和らげる代理役」と呼んでいます。さらに特筆すべきは、Forresterのアナリストが次のように明確に述べていることです。「B2Bマーケティングは特長と機能を訴えることがすべてと思うなら、考え直した方がいい。人間の脳は複雑さを忌み嫌うようにできており、B2B企業の影響力を持つ人々や意思決定者たちは決断を単純化してくれるシグナルを必死に探している。そのシグナルこそがブランドなのだ!」

以下はオーディエンスとのエンゲージメントに情緒的ベネフィットを活用しているB2Bブランドの事例です。動画を見てテーマを探ってみてください。

  • Boeing – reliability
  • EY – purpose and legacy
  • Goldman Sachs – leadership
  • McKinsey – reinvention
  • 3M – improving people’s lives

弊社の元最高マーケティング責任者が以前よく言っていました。B2Bマーケティングは”business to business”ではなく、”people to people”であると。つまりビジネス上の決断を下す組織は人々で成り立っており、それはB2BブランドもB2Cブランドと同じだということです。人々とは人間のことであり、さまざまな感情にあふれています。私は人間について脳科学者 Jill Bolton Taylor博士が述べた次の言葉を特に気に入っています。曰く、「人間は”感情を持つ思考的生物”でなく”思考する感情的生物”である」。そう考えるなら、B2BマーケターがB2Bブランドのために情緒的ベネフィットを検討するべき理由は明白になるのではないでしょうか。

Translated and edited from “Brandspeak: Does Emotion Play a Role in B2B Branding?”, January 17, 2018, brandchannel.com

Authored from Joe Pantigoso

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